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2024.04.23 DX導入

デジタル変革を加速させるDXコンサルティングの役割と活用の秘訣

#DX #コンサルティング

 

昨今、激しい競争社会を生き残るべく、DXによる企業変革が叫ばれています。しかし、自社にノウハウがないことから、どこから手をつければいいかわからない方も多いのではないでしょうか。そこで昨今注目されているのが、DXによる経営変革のサポートを担うDXコンサルティングです。本記事では、その役割や活用の秘訣についてご紹介します。DXコンサルタントの将来性についても解説しますので、ぜひ参考にしてください。

1.DXコンサルティングとは?その役割は?

DXコンサルティングの「DX」とは、Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)の略称です。DXの目標は、単にITツールを使って業務をデジタル化するだけではなく、経営課題そのものにアプローチして自社ビジネスの変革を目指すことです。しかし、長年慣れ親しんできたシステムや業務フローを変えるのは、決して簡単なことではありません。また、DXの専門知識を持つ人材は不足しているため、なかなかDXが進まない企業も多いのではないでしょうか。そこで活用を検討したいのがDXコンサルティングです。その役割を詳しく見ていきましょう。

 

1-1.デジタル化による企業のビジョン策定

ビジョン策定は、DXコンサルタントの重要な役割の一つです。その場しのぎではなく中長期的な視点に立ったデジタル化戦略の立案が求められます。また、DX推進には自社全体での取り組みが必要なため、場合によってはDXコンサルタントが組織体制の見直し案を作成するケースもあるようです。

 

1-2.アイディア創出に向けたデータ利活用

現場における画期的なアイディア創出をサポートするのも、DXコンサルタントの役割です。新たな製品やサービス、画期的なビジネスモデルを生み出すには、様々なデータの利活用が必須であり、そうしたデータの収集方法や分析・評価方法について、最新技術を駆使しながらサポートします。

 

1-3.システム開発や導入などのサポート

DXを進めていくと、新たなシステムの開発や導入が必要になるケースもあります。DXコンサルタントは、こうした開発、導入のサポートも可能です。たとえば、PoCやMVPなどの検討が挙げられるでしょう。PoCとは“Proof of Concept”の略称で、「概念実証」と訳されます。開発中の新サービスやプロダクトの効果や、ビジネスとしての実現可能性を検証する作業のことです。MVPは“Minimum Viable Product”の略称で、「ユーザーに必要最小限の価値を提供できる製品」のことを意味します。まずMVPを作ってユーザーに利用してもらい、フィードバックを受けながら開発を進めることでよりニーズに沿った正式プロダクトを作ることができます。

 

そのほか、理解しやすいユースケースの作成などもDXコンサルタントの役割です。ユースケースとはシステムの仕組みや機能を分かりやすく図解したもので、利用者のシチュエーションやアクション別に事例がまとめられています。

 

1-4.DX推進に向けた人材育成

DXを推進するには、ITスキルに加えて経営や事業開発といったスキルを持つ人材が欠かせません。こうしたビジネスデザイナーなどの人材育成をサポートするのも、DXコンサルタントの役割です。そのほかにも、研修などを通した従業員のITリテラシー向上や、DX人材の獲得と定着に向けた制度構築のサポートも行います。

 

2.DXコンサルティングを活用する際の注意点

このようにDXコンサルティングを活用すれば様々なメリットが得られますが、一方で注意すべきポイントも存在します。ここでは、DXコンサルティング活用の際の注意点と、その対応策についてご紹介します。

 

2-1.自社ビジネスへの理解に時間が必要

企業変革を行うためには、当然ながら自社ビジネスについて詳細に理解しておかなければなりません。しかし、社外のDXコンサルタントにお願いする場合、自社ビジネスをイチから理解してもらうための時間がどうしても必要となります。こうした課題に対しては、業務プロセスや使用しているシステムはもちろんのこと、企業理念や組織文化などに関する詳細な資料をあらかじめ準備しておくことが有効です。こうした資料を活用してもらうことで、自社ビジネスへの理解にかかる時間が短縮できます。

 

2-2.社内にDXのノウハウを蓄積できない

DXコンサルをお願いしたからといってすべてを丸投げしてしまうと、社内にノウハウを蓄積できず、最悪の場合、「コンサルタントに聞かないと何も分からない」という事態につながりかねません。DXの最終地点は、社会や技術の変化に柔軟に対応できる企業へと変化することです。そのためには技術をビジネスに活かすDXのノウハウを、社内の人間がきちんと身に付けておく必要があります。こうした課題への対策として、コンサルティングの内容を社内でしっかり共有することが挙げられます。その結果、DXを「自分ごと」として捉えられるようになり、自然とDX推進への意識が高まってノウハウも蓄積されていくでしょう。

 

2-3.社員とのコミュニケーションがうまくいかない

自社ビジネスの変革を最終ゴールとするDXは、特定の社員や一部の業務部門だけで成し遂げられるものではありません。全社員が一丸となってしっかり連携を取りながら進めることが大切です。しかし、社外の人間であるDXコンサルタントが、こうした連携を上手くとれるとは限りません。「いきなりヒアリングをされても本音では話せない」、「社外の人間は信用しづらい」と感じる社員が少なからずいる場合、コミュニケーションがうまくいかない可能性は十分に考えられます。なぜDXが必要なのか、社員に対して丁寧に説明を行い、社内でDXへの意識を高めることで、DXコンサルタントと積極的なコミュニケーションを取るよう促すことが解決への近道です。

3.DXコンサルティングを効果的に利用するためのアプローチ

ここでは、DXコンサルティングを効果的に利用するためのアプローチについてご紹介します。

 

3-1.利用目的を明確に

なぜDXコンサルティングを受けたいのか、受けた後、どのような状態になっているのが理想なのかといったビジョンをはっきりさせることで、どのようなサポートを受けるべきかが自ずと見えてきます。逆にいえば、目的がはっきりしないままコンサルティングを依頼した場合、「あれもこれも」とお願いしてしまい、余計なコストが発生する上、期待していた成果に結び付かない可能性もあります。最小限のコストで最大の効果を得るためにも、コンサルティングを受ける理由とゴールを明確にしておきましょう。

 

3-2.「自分たちが主導する」という意識の醸成

先述したようにDXを成功させるためには、全社員が一丸となって取り組む必要があります。DXコンサルタントはあくまでサポートであり、「DXを主導するのは自分たちである」という意識を自社の社員に強く持ってもらうことが大切です。そのためにも、DX推進プロジェクトのチームを組成し、メンバーの役割と責任を明確にしておきましょう。

4.DXコンサルティング会社を選定するときのポイント

DXを成功させるには、自社ビジネスに合ったDXコンサルティング会社の選定がカギです。コンサルティング会社には様々な種類があるため、自社に適した企業を選定して依頼する必要があります。具体的には、以下の3つの方法で選定するのが良いです。

・コンサルティングしてもらえる範囲と得意分野を理解する
・複数企業を比較する
・実績を調べる

 

4-1.コンサルティングしてもらえる範囲と得意分野を理解する

まずは、それぞれの会社の得意分野とコンサルティングしてもらえる範囲を理解しましょう。DXコンサルティング会社のタイプを大きく分けると、以下の4つとなります。

・戦略系コンサルティング会社
・総合系コンサルティング会社
・IT系コンサルティング会社
・その他特化型コンサルティング会社

 

戦略系コンサルティング会社の主な支援内容は、経営戦略、デジタル戦略の策定です。近年は、ITツールの導入や業務効率化などまで対応する会社も増えています。総合系コンサルティング会社は、経営戦略の策定からシステム導入、業務効率改善まで、一貫したサポートを行っています。対応領域が幅広く、マーケティングや人事まで対応している会社もあるようです。IT系コンサルティング会社は、主にシステムの導入・保守・運用や新システムによる業務効率化を支援します。IT技術を駆使した開発支援や戦略策定が得意分野といえるでしょう。その他特化型コンサル企業は、業務領域特化型と技術特化型に分かれます。業務領域特化型は、マーケティングや人事など特定の業務を専門とするコンサルティング、技術特化型は、AIやRPAなど、DXに有効な要素技術を中心としたコンサルティングを行っています。

 

4-2.複数企業を比較する

先述したように、DXコンサルティング会社の種類は様々です。そのため、自社の課題やニーズによりマッチした会社を選べるよう、複数の会社を比較するのが良いでしょう。比較する際は、自社の課題やニーズを明確にした上で、対象となる会社をある程度絞り込んでから行いましょう。また、長期的にコンサルティングしてもらうことを視野に入れるならば、担当コンサルタントとの相性を考慮することも大事です。

 

4-3.実績を調べる

コンサルティング会社を選定する際は、今までにどういった実績があるのか入念にチェックし、ミスマッチを防ぐ必要があります。例えば、従業員を多く抱える大手企業がコンサルティングを依頼するケースを考えてみましょう。自社の課題とマッチするコンサルティング会社を見つけたとしても、その会社が少人数のスタートアップにおける実績しかない場合、スムーズに対応してもらえるとは限りません。実績を調べる際は、その会社が担当してきた企業の規模や社歴などにも目を配りましょう。

 

5.まとめ

デジタル技術を駆使した新たなビジネスモデルの創出や企業風土の変革をサポートしてくれるのが、DXコンサルタントです。デジタル化を通した企業ビジョン策定のほか、ビジネスモデル創出支援や、DX人材の育成も行います。ただし、DXコンサルはあくまでサポートの立場であり、実際にDXを進めるのは自社の社員であることを忘れてはいけません。コンサルタントに丸投げせず、「自分たちでビジネスを変えていく」意識を強く持つことが、DX成功の秘訣といえるでしょう。経営戦略やデジタル戦略などの策定に強いコンサルティング企業、システム開発支援が得意なコンサルティング企業など、様々な種類がありますので、自社が求めるものと一致するところを選ぶことも大切です。