CASE
株式会社ゆうちょ銀行様
地域金融機関との事務共同化の推進
~“非競争領域”の連携強化~
ゆうちょ銀行は、地域金融機関との連携施策のひとつとして、金融機関の“非競争領域”である事務の共同化の推進を行っています。その第1弾として、川崎信用金庫との税公金取りまとめ事務の共同化を2019年10月から開始しています。ゆうちょ銀行は、税公金の取りまとめ事務をバックオフィスである全国11カ所の貯金事務センターで集中処理を行っており、この事務をプリマジェストにフルアウトソーシングしています。プリマジェストはゆうちょ銀行の事務で築き上げたインフラおよび安定した業務運行ノウハウを活用し、川崎信用金庫の事務を受託いたしました。
今回の取り組みである地域金融機関との連携や現場の声について取材させていただきました。
今回のプロジェクト発足の経緯について
共通事務の共同化でコスト負担をシェア
弊行の中期経営計画(2018年度~2020年度)では、3つの基軸の1つに「地域への資金の循環等」を掲げています。これは、地域活性化ファンドへの共同出資という形で、地域の金融機関様と協調・提携を深めていく方針ですが、その1つの施策として「地域金融機関との事務共同化」を推進しています。
“事務の効率化”や“事務コスト削減”は金融機関の共通課題で永続的なテーマです。これらの課題を共に解決する1つの方法として、弊行の全国11カ所の貯金事務センター等を活用する事ができないかと考え、今回の事務共同化のプロジェクトは発足しました。 弊行は、営業部門に「地域金融法人部」を設置し、地域金融機関様の一元的な窓口となり、個別のニーズを汲み取る役割を担っています。
地域金融機関様のニーズをお伺いしたところ、事務共同化のキーワードは、紙の帳票類の処理負荷削減です。昨今デジタル化が進む金融界でも、足元では紙の帳票類とそれに伴う事務を行うための設備投資や要員確保が大きな負担になっています。共通する事務を複数機関で1つの事務センターで共同化し、コストシェアする事が課題解決の選択肢の1つではないかと考えました。
導入効果
事務共同化の具体的運用
ゆうちょ品質で事務レベルを担保
事務共同化のコンセプトは、①センター(施設)、②システム・機器、③人(要員・委託先)の3つの要素を共同化することです。弊行には銀行バック事務や集中事務を行う貯金事務センターが全国に11カ所あり、これらの既存インフラを有効活用することで事務共同化を実現するものです。 税公金取りまとめ事務の共同化は、これまで各金融機関で行っていた歳入金、公金(地方税)および公共料金の領収済通知書等の集計・分類・送付作業を弊行の貯金事務センターで行うものです。この作業を弊行が地域金融機関様から受託し、その事務をプリマジェストに再委託を行い、既存の事務処理インフラを活用し処理を行います。 同じ事務室とシステム(機器)で処理する事から、弊行分と地域金融機関様分の処理は時間帯を分けて処理をします。弊行の処理は朝から夕方にかけて、地域金融機関様の処理は夕方から夜間にかけて実施する事で持ち込み時限の確保や書類の混在を回避しています。 地域金融機関様と弊行では事務処理フローが異なる事があります。既存の事務処理フローで非効率な作業は改善策を検討し、効率的な事務処理フローをご提案します。
改善内容
事務共同化推進におけるポイント
事務作業をマニュアル化、可視化する事が重要
事務をアウトソーシングする場合、事務作業をマニュアル化し、委託者と受託者間で細部まで作業内容の認識合わせをする事が重要です。川崎信用金庫様の事務を受託する際は、何度も打ち合わせを行い、実地見学を行いながら現行事務作業をドキュメント化しました。現行事務作業を把握した上で、弊行が受託後の運用マニュアルを作成し、作業内容を可視化しました。
金融機関様によって事務作業をすべてドキュメント化せず、担当者間のOJTや簡易メモにより作業を行われている場合があります。これらをドキュメント化し、作業内容を可視化する事で行き違いを防止し、作業内容の変更や問題が発生した際、スムーズに相互で確認をする事ができます。
川崎信用金庫様とは、2018年5月頃から検討をスタートし、2019年の2月に基本合意をいただきました。マニュアルの策定やシステムの一部カスタマイズのほか、スタッフへの教育、リハーサルによる実証確認など川崎信用金庫様やプリマジェスト協力のもと、2019年10月から受託を開始しました。 まずは、スケジュール通りに安定的に運用が開始できた事に対して評価をいただいています。
また、事務共同化の効果としては、集計・分類作業などの担当者5人分の効率化が見込まれる、と聞いています。今後は、受託金融機関の拡大や他の業務の連携拡大も期待されています。
Reason
プリマジェスト選定理由
システムと運用スタッフ両方の提供
運用を円滑にできる知識・スキルを持ち、事務共同化の推進に寄与
プリマジェストには、事務をフルアウトソーシングし、システムとスタッフの両方を提供いただく事で作業品質の維持・向上がスムーズに行われています。イレギュラーな対応時などは、システム面と運用面の両方の知識・スキルが必要ですが、プリマジェストのスタッフはどちらも精通している事から安心して対応をお願いする事ができます。月1回の定例会では、品質維持に向け、率直に意見を出し合える関係が構築できています。
納品いただく各種書類およびデータは金融機関にとって信用のバロメータです。お客様の信頼を失う事のないよう、引き続き堅実な作業継続を期待しています。
将来に向けて
事務共同化の拡大
多数の地域金融機関様と連携し、地域の金融インフラとして事務共同化の推進を加速させていく計画
税公金取りまとめ事務共同化の受託行数の拡大に取り組んでいきます。全国11カ所の貯金事務センターなどを活用する事で多くの地域金融機関様と協調・提携関係を推進したいと考えています。
また、税公金取りまとめ事務以外の連携施策を拡大していきます。金融機関の共通事務やRPA、AIを活用するための帳票のデータ化など地域金融機関様のニーズを伺いつつ進めていきます。
今後も、“地域の金融インフラ”として地域金融機関様との事務共同化を推進していきます。
本社東京都大手町。2007年10月、当時の日本郵政公社が民営化・分社化して誕生。貯金残高180.9兆円、店舗数23,944、従業員12,800名と国内最大規模の金融機関(2019年3月末時点)。全国に展開する郵便局ネットワークを通じ、総合的な金融サービスをご提供する「最も身近で信頼される銀行」を目指している。
ホームページ:https://www.jp-bank.japanpost.jp/