CASE
日本コープ共済生活協同組合連合会様
「AI-OCR」「EOS」適用で
エントリー業務のコストを半減
日本コープ共済生活協同組合連合会様では、今後の顧客サービスの拡充によって共済金支払いの
業務量拡大に伴うコスト増加を抑えることが大きな課題となっており、
プリマジェストがBPOで請け負うエントリー業務の自動査定化率の向上によって業務効率化を図るとともに、
将来的な業務の拡張性を高めていくことが求められていました。
これらの課題を解決するために、プリマジェストから「AI-OCR」および、
複数のOCRエンジンを設定・制御できる「EOS(Extended OCR Service)」を適用したソリューションを導入。
エントリー業務のコスト半減を実現しました。
導入に携わったコープ共済連 開発本部 事務開発部の古川愛郎部長と
同部 共済金開発グループの信田英孝マネージャーに、ソリューションを導入した背景や導入の効果、
プリマジェストを選定した理由、今後のDX推進の展望などについて、お話を伺いました。
「AI-OCR」による
不定形帳票エントリーの自動査定化、
「従来型OCR」による定型書類の処理、
「EOS」による複数のOCRエンジンの制御
コープ共済連 開発本部
事務開発部 共済金開発グループ
マネージャー
信田 英孝 様
──ソリューション導入の背景は?
CO・OP共済の2030年までの長期戦略・経営ビジョンにおいて、共済金の請求に関しては、Web請求の範囲拡大や手術共済金の支払い対象範囲の拡充、新商品の開発などによって加入者に共済をこれまで以上に利用してもらい、お役に立っていくことを目標に掲げています。その際、加入者から届く共済金の請求書類を入力するエントリーなどの業務量の大幅な増加が想定され、何も手を打たないと支払件数に合わせてコストが右肩上がりに増えていくことになります。そうしたエントリー業務のコストを抑えながら、同時に加入者への貢献度も高めていくことを目指したことが、今回の導入を検討するきっかけでした。
──今回導入したソリューションとは?
従来、当連合会の共済金の支払いでは、エントリーされた帳票の内容を自動査定システムが判断して支払いの有無を決定しますが、その前段階として帳票をエントリーする業務のBPOをプリマジェストに委託しています。2022年9月から、そのエントリー業務に「AI-OCR」を適用しています。
──「AI-OCR」と「従来型OCR」を組み合わせた理由は?
技術的なポイントとして、共済金の請求では病院で発行される領収書や診療報酬明細書などさまざまな書類が存在し、それら不定形帳票をしっかり読み込んでデータ化するOCRを導入することが必要でした。そこで、「AI-OCR」を適用することで、これまで人の手でのみ行っていた不定形帳票のエントリー業務を自動査定化し、省人化を図りました。
また、定型書類については、「従来型OCR」の方がランニングコストを低く抑えられることから、必要に応じて「AI-OCR」と「従来型OCR」を組み込んでマルチに制御できる「EOS」も、併せて適用しました。
導入効果
──今回のソリューション導入で改善・解決できた点と成果は?
当初の目的だったエントリー業務のランニングコストの圧縮が、最大の成果になります。全ての帳票ではありませんが、主要な帳票についてはコストがほぼ半減しました。ただ、「AI-OCR」の適用に伴ってシステムの固定費が一部上昇したことから、トータルで見れば大幅削減とまでは言えませんが、この先、支払件数が増えていけば、それだけエントリー費用を抑えたことの効果が大きくなると見込んでいます。
また、納品の成果物に関しては、リードタイム等は基本的に従来と変わっておらず、エントリーデータの精度についても問題ありません。まだ数カ月前に導入したばかりですので、一定程度の業務実績が積み重なった段階で振り返りを行い、業務の精度をより上げていければと考えています。
──全体を通してプリマジェストの対応は?
他のシステム開発ではさまざまな不具合が発生したりもしますが、今回の「AI-OCR」「EOS」適用では稼働前後で全く違和感がないくらいスムーズに導入できたので非常に助かっています。「AI-OCR」に関する説明などでも、こちらの要求通りに対応してもらったので全くストレスを感じませんでした。現在、手術共済金の支払いに関するBPOについてプリマジェストの開発部門や営業部門と毎週定例ミーティングを行っていますが、とてもスムーズにプロジェクトが進んでいます。
Reason
プリマジェスト選定理由
ソリューション開発後の継続性を重視
「業務効率化・生産性向上を一緒に考え、進めてもらえる」
──複数の候補の中からプリマジェストを選定した理由は?
検討の中では、「AI-OCR」を開発元であるメーカーから当連合会が直接導入し、自らエントリー業務を行うという考え方もありましたが、いろいろと検討した結果、あまり現実的でないとの結論になりました。その理由の一つとして、メーカーは提出されたシステム要件に沿って実物を開発して納品しますが、その先の、業務のPDCAを回しながら効率化を図り、生産性を上げていくといったことは、基本的にわれわれが自力でやらなければなりません。
その点、長年にわたってBPOを委託しているプリマジェストであれば、「AI-OCR」を作り上げて終わるメーカーとは異なり、ソリューションのクオリティーはもちろん、導入後のバージョンアップや業務の見直しへの対応など、PDCAを回しながら当連合会が業務効率化を進め、生産性を向上させていくためにどうすれば最善なのかを一緒になって考え、取り組んでいただけると判断しました。この先、10年、20年と使っていくことを考えた際の継続性を最も重視しました。
実際、導入にあたって、プリマジェストの担当者の方とはメールや会議でのやり取りだけでなく、当連合会に常駐してもらい、業務内容を見てもらった上で濃密な意見交換を行いました。例えばこちらが要望として出した仕様に対して、「こうしたらもっと良くなるのではないでしょうか」「こういうこともできますよ」といった提案をしていただいたのは非常にありがたかったです。
──同様の課題を持つ他の共済団体に伝えたいことは?
ソリューションはさまざまな種類があり、何を選択するかは各共済団体の課題やニーズによって異なると思いますが、われわれは信頼できる、長年にわたって一緒にお付き合いしていける相手かどうかを最も重視して取引先を選びました。「AI-OCR」自体については、この先Webの請求など利用領域が広がる中で、人の力の限界を超えることができる非常に有効な仕組みだと考えていますし、導入を前向きに検討いただければと思います。
これからの時代、共通する業務について各共済団体でまとまってシステム開発を行い、コストを下げていくことも真剣に考えなければならなくなると思っています。競争領域ではない事務業務などについては連携していければと考えています。
将来に向けて
さらなる業務改善・生産性向上へ
業務改革と顧客サービスの両立をめざして
コープ共済連 開発本部
事務開発部 部長
古川 愛郎 様
──今後のDX推進や今回導入したソリューションの活用は?
従来の査定業務では、共済金の請求書類が届くとまず目視でチェックして必要項目をエントリーしてから有無責の審査を行っていました。書類のどの部分に不備や書き間違いが多いかなどのデータは、担当者自らがカウントしなければなりませんが、プリマジェストに委託している機械査定だと、全ての項目のエントリーデータがログとして記録されますから、そのログを解析して、例えば、帳票の改善に一緒に取り組んでもらえればと思っています。
また、現在はBPOでエントリー業務とスキャンによる帳票のイメージデータの作成をお願いしていますが、一歩進んで有無責の判断まで自動査定で行うことができれば、生産性をより高められるのではと考えています。
将来的には、Webを通じた共済金請求を段階的に拡大していきたいと考えています。Web請求だとデータ入力業務を大幅に削減することができ、また、現在よりもデータの精度が高まることから、顧客サービスを向上させつつより一層のコスト削減につながると考えています。
──業務改革や顧客サービスの向上について今後の展望は?
新型コロナウイルス感染拡大の第7波によって2022年のピーク時は通常の5倍の業務量でした。組合員様のお役立ちになった一方で、いくつかの面でご迷惑をおかけしたこともあったと思います。今後は顧客サービスという側面からWeb化を拡大していかなければならないと考えています。
一方で、業務改革についていえば、職員自身も新型コロナウイルスに感染するような状況の中で業務を継続させていかなければなりませんが、現状、オンラインでできる業務には制限があります。今後、ワークフローの見直しを行い、リモートでさまざまな業務ができるように改善していければと思っています。業務改革と顧客サービスは決して矛盾するものではなく、ウィンウィンの関係を築いて両立できると思っており、BPOの第一人者であるプリマジェストに協力してもらいながら実現していければと考えています。
日本コープ共済生活協同組合連合会(略称:コープ共済連)は、CO・OP共済を取り扱う各地域の生協と日本生活協同組合連合会(略称:日本生協連)が共同して設立した共済事業を専業とする連合会。CO・OP共済によって、組合員相互の助け合いにより、組合員のくらしの中の各種の危険による経済的な損失を保障することを中心にして、組合員のくらしの向上に役立ち、生協の発展、協同組合運動の普及と豊かな社会づくりへの貢献をめざす。
ホームページ: https://coopkyosai.coop/