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2024.02.16 DX人材育成

DX時代の勝者になるための必須スキル:DX人材スキルマップの理解と活用

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技術革新のめざましい現代において、デジタル技術を駆使した業務効率化や自社ビジネスの変革を目指すDXは、多くの企業にとって必要不可欠な取り組みです。DXを進めるためには、専門的な知識や技術を持つ人材の確保が欠かせません。しかし、DX人材にどのようなスキルが必要なのか、どのように育てていけばいいのかわからないという企業も多いのではないでしょうか。

本記事では、DX人材に必須のスキルや人材を育てるためのスキルマップの理解と活用、人材育成戦略について解説します。ぜひ参考にしてください。

1.DX人材が持つべきスキルとは

DX人材になるには、どういったスキルが必要になるのでしょうか。DX人材の職種7つとそれぞれの職種で求められるスキルに加え、DX人材に求められる4つのマインドセットもご紹介します。

1-1.DX人材の職種7選

【プロデューサー(プロダクトマネージャー)】
プロデューサーは、プロダクトマネージャーとも呼ばれます。DX化を推進するうえで中心的役割を果たすため、自社のビジネスを理解し、「リーダーシップを取る力」が求められるでしょう。加えて「市場の動向を理解し、ニーズを読み解く力」、プロジェクトチームの戦略策定や人材配置などの「マネジメント能力」、社内外の関係者との「コミュニケーション能力」なども求められます。

 

【ビジネスデザイナー】
ビジネスデザイナーは、DX戦略の企画立案から実行までのプロセスを手がける、プロデューサーの補佐的存在です。新ビジネス創出のためのアイデア出し、いわゆる「発想力」は、ビジネスデザイナーにとって特に重要なスキルといえるでしょう。そのほかにも、アイデアを事業として成り立たせるための「企画構築力」、その企画がなぜ良いのか、市場のニーズに当てはめて説明できる「提案力」、より良い企画のために周囲の意見に耳を傾けられる「ヒアリング力」などが求められます。また、実行した企画の効果測定を行うための「分析力」、「数字を読み取る知識」も必要です。

 

【テックリード(エンジニアリングマネージャー・アーキテクト)】
テックリードは、ビジネスデザイナーが構築した企画をシステムとして設計する中心的役割を果たします。特に重要なスキルは、システムの全体構造を作り上げる「アーキテクチャ設計力」です。もちろん、アーキテクチャに付帯するソフトウェアやOS、データベースなど、「幅広いIT知識」も求められます。また、システムを実装するための「プロジェクトマネジメント能力」や、システムが顧客にどう役立つのかなど「経営的視点で考える力」も必要でしょう。

 

【データサイエンティスト】
データサイエンティストは、デジタル技術を駆使したデータ分析に精通した人材です。最も重要なスキルは、やはり「データ分析力」でしょう。具体的には、ツールを使って膨大なデータの中から必要な情報を集めるスキル、分析や解析のためにAIやIoTを活用できるスキルなどです。分析を行うには、「統計学の知識」や「プログラミングスキル」も欠かせません。また、DXは企業のビジネスの在り方そのものを変革する取り組みなので、「企業のニーズに合わせた分析」ができるかどうかも大切なポイントです。

 

【先端技術エンジニア】
先端技術エンジニアは、最新技術を研究し、ビジネスに役立つシステム開発を担う人材です。「AI」や「ブロックチェーン」などの技術をもとに、ビジネスに応用できるスキルが求められます。近年、情報技術はすさまじいスピードでアップデートされ続けているため、「自ら積極的に学びを深められる力」が不可欠となります。

 

【UI/UXデザイナー】
UI/UXデザイナーは、情報システムをユーザー向けに使いやすく設計&デザインするのが主な役割です。「UI」とはUser Interfaceの略で、ユーザーが目にする画面を意味します。「UX」とはUser Experienceの略で、システム利用時にユーザーが得る体験のことです。ユーザー目線に立って魅力的なUIを作る「デザイン力」、実装するにあたってそのデザインに至った理由を説明できる「言語化スキル」などが求められます。また、ユーザーに寄り添ったUIを実装するにはユーザーの行動パターンの把握も必要になるため、ヒートマップやA/Bテストといった分析手法を使いこなすスキルもあったほうが望ましいでしょう。

 

【エンジニア・プログラマー】
エンジニア・プログラマーは、ビジネスデザイナーやテックリードが構築・設計したシステムの実装を主に手がけます。システム実装には、言うまでもなく「プログラミングスキル」が必要です。DX人材としては、機械学習やAIに強い「Python」、統計解析で使用する「R言語」などのプログラミング言語は身につけておきたいところです。その他、担当する実装工程によって使用する言語が異なるため、必要に応じて学習する必要があります。その他、トラブル発生時に問題点を導き出す「論理的思考力」や「課題解決力」も必要です。

 

1-2.DX人材に求められるマインド4選

【飽くなき向上心による自主的な「学び」】
デジタルの世界は流行り廃りが激しく、つい最近話題をさらった技術がたった数ヶ月で古いものとして扱われることもあります。絶え間なく出てくる新しい技術を学習し続け、常に自分のスキルをアップデートする必要があります。飽くなき向上心を持って常に「自主的に学び続けられる」人が、DX人材に向いているでしょう。

 

【自ら動いて周りを巻き込む「主体性」】
自社の1事業のみならず、企業そのものの風土や体制変革を目指すDXは、一部の人間の力だけでは成し遂げられません。経営層だけが関わっていれば良いわけではなく、社員全員が一丸となって取り組むことで初めてDXを成功させることができます。そのためにも、DX人材には、自ら動いて周りを巻き込んでいく「主体性」が必要です。反対する社員に対し、なぜDXが必要なのかを根気よく説明するなど、周囲の理解を得るために積極的に行動できるかが成功のカギを握ります。

 

【失敗を恐れずにチャレンジする「勇気」】
「DX推進は初めての試み」という企業も多いのではないでしょうか。これまで自社が行ってきたビジネスを抜本的に変革するため、DXの実現には不安や心配が付きものです。事前にしっかり計画を立てたとしても、その通りに進むとは限りません。だからといってDX推進ができないままでは、時代に取り残されてしまうでしょう。途中で失敗しても、臨機応変に計画を変更しながらDXに挑んでいく「勇気」が、DX人材には求められています。

 

【逆境に負けない「精神力」と「責任感」】
DX人材の役割は、単にデジタル技術を企業に導入するだけではありません。変革を目指すリーダーとして、重要な決断を任される場面も出てきます。その過程で、周囲への説得がうまくいかず、逆境に立たされるときもあるでしょう。そんな中でも諦めず、DXを必ず成功させるという強い「精神力」と「責任感」を持てれば、やがて問題解決の糸口が見つかるでしょう。

 

1-3.DX人材が取得しておきたい資格

DX推進が叫ばれる今、様々な資格も登場してきました。たとえば、DXの基礎知識や実践力を問う「DX検定」、各ビジネスパーソンが元々持っているスキルに加えた形でDX推進に必要なリテラシーがあることを証明する「+DX認定試験」、ディープラーニングに関する知識や実装力を問う「AI実装検定」などが挙げられます。
そのほかにも、プログラミング言語であるPythonのスキルが身に付いていることを証明する「Pythonエンジニア認定試験」、データベースに関する知識を問う「データベーススペシャリスト試験」などがあります。どの資格もDX人材にとって必須ではありませんが、取得しておくとDX推進に際して大いに役立つでしょう。

 

2.スキルマップを作成するメリット

DX人材を育成するためには、DX推進プロジェクトに合わせたスキルマップの作成・活用が欠かせません。スキルマップとは、従業員の持つスキルや業務遂行力を一覧化したものです。誰がどんな能力を持っているのかを可視化できるのが大きなメリットで、DX人材候補者を選出するのに役立ちます。不足しているスキルについても一目で判断できるので、人材の育成や採用によって不足領域を補う対策がしやすくなります。

3.DX人材を育成するための戦略

DXが進められている一方で、高度なスキルを持つDX人材の確保はかなり難しいのが現実です。総務省によると、日本企業の5割以上がデジタル関連の人材不足を訴えており、更に経産省によると、2030年までに最大79万人のIT人材が不足するといわれています。この問題を解決するためにも、企業側で人材を育てる取り組みが大切です。ここでは、DX人材の育成に向けた4つの戦略をご紹介します。

3-1.新入社員をDX人材として育成

まず、新入社員を採用した段階からDX人材として育成する方法が挙げられるでしょう。入社時から教育プログラムを組み込むことで、将来を見据えた人材育成ができます。ただし、DXを推進するためには、自社の経営方針やビジネスの全体像について知っておかなければなりません。新入社員がいきなりこれらを把握するのは難しいため、先輩社員や上司がフォローしながら進めていくことが重要です。

3-2.既存社員をDX人材として育成

すでに自社でキャリアを積んでいる既存社員を対象に、リスキリングを通じてDX人材へと育てる方法もあります。リスキリングとは、これまでと異なる業務に対応するため、新しい知識やスキルを身につけることを指します。この方法は、プロデューサーやビジネスデザイナーなど、DXにおける中心的役割を担う人材を育てたいときに特に効果的です。

3-3.中途採用でDX人材の募集をかける

中途採用でDX人材の募集をかける方法もあります。DX関連スキルを持つ人材を即戦力として採用できるため、社内での育成コストを省略できます。ただし、どの企業でもそういった人材は不足しているため、獲得競争が激化しているのが現実です。「ここで働きたい」と思ってもらえるような、雇用条件や給与を提示する必要があるでしょう。
たとえば、近年は雇用形態も多様化しており、敢えて正社員ではなく業務委託や副業での働き方を選ぶ方もいます。また給与についても、自社が定める報酬体系に魅力を感じてもらいにくい場合は、DX人材用の報酬体系を決めておくなどの対応が必要です。

3-4.DX専門の外部コンサルタントに委託

自社での人材確保が難しい場合は、DX専門の外部コンサルタントに委託する方法も考えられます。様々な業界・業種でのDXを進めてきた経験やノウハウをもとに、効果的なサポートが受けられるでしょう。ただし、外部に委託する場合、DXの知識や経験が自社内に蓄積されにくくなることは念頭に置いてください。

 

4.まとめ

DX人材には、デジタルに関する知識や技術だけではなく、発想力やマネジメント力など様々なスキルが求められます。自ら学び続ける姿勢や周りを巻き込んでいく力も必須でしょう。企業がこれからの時代を生き残っていくためには、こうしたスキルを持つDX人材をいかに確保できるかがカギとなります。
しかし、現実にはDX人材は不足しており、企業間で熾烈な人材獲得競争が繰り広げられています。対策として、新入社員や既存社員をDX人材へと育成するほか、雇用条件や待遇を工夫して中途採用を行う方法などが挙げられます。自社に合った方法を検討して、企業の未来を担うDX人材を確保しましょう。