COLUMN

2023.06.14 DX導入

【DXの進め方】中小企業DX推進の具体的な流れ

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中小企業DX推進の具体的な流れ

企業のDX推進は、ビジネスプロセスの改善や業務自動化、データ解析による顧客ニーズの把握など、デジタル技術を活用して、企業の競争力を高めることを目的とした取り組みです。デジタル技術の発展により、ビジネス環境は急速に変化しています。仮に、競合他社が既にDXに取り組んでいる場合、自社の競争力は劣っていることになります。
そこで、本記事では、DXを推進していくためのステップとITの活用事例について詳しく説明します。

1.DXとIT化の違い

DXとIT化は、両者共に企業のデジタル化に関連していますが、異なる概念とアプローチを持っています。
IT化は、ITシステムやソフトウェアを使用して業務プロセスを効率化し、業務の一部を自動化する取り組みです。主に内部の業務改善や生産性向上を目的としており、業務の効率化や情報共有の改善に焦点を当てています。
一方、DXは、企業のビジネスプロセスや組織のあり方を変革し、デジタル技術を活用して競争力を高めることを目指す包括的な取り組みです。DXはIT化も含んでおり、より幅広い範囲の意味合いを持っています。またDXは、ビジネスモデルの再構築、顧客体験の向上、新たな市場の創出などの意味合いも含んでいます。

 

2.中小企業におけるDX推進の課題と解決策

1.  予算制約とリソース不足

通常、中小企業は大企業に比べて予算やリソースが限られています。DXには投資が必要であり、AI技術やデータ分析の専門知識を持つ人材確保やシステム導入、専門的なコンサルティングサービスなどの費用を伴いますが、中小企業では予算やリソースの制約により、そうした投資ができず、DXが遅れる可能性もあります。
これらの課題を克服するためには、適切な人材の獲得や育成、外部パートナーの活用、予算配分といったプロジェクトの優先順位を決めることが重要です。外部パートナーに関しては、クラウドサービスやアウトソーシングを活用することも効果的です。

 

2. 技術的な知識とスキル不足

DXにはデジタル技術の理解や実装が必要ですが、中小企業では、そうした知識やスキルを持った人材が不足している場合があります。具体的にはAIやビッグデータの解析、クラウドテクノロジーの導入などに必要な知識やスキルが十分ではなく、DXの足かせになっているのが現状です。また、セキュリティ対策を行うためのリソースや知識が不足していることも課題として挙げられます。
これらの課題を解決するためには、内部教育によるスキルアップ、外部の専門家やリソースの活用が有効となります。こうした取り組みにより、組織はDXに必要な知識とスキルを身につけることができます。

 

3. 組織文化と変革への抵抗

中小企業はしばしば伝統的な組織文化を持っており、新しいアイデアや組織の変革に対して抵抗を示すことがありますが、DXは変革のアクションであり、従来の業務プロセスや意思決定の仕組みを変える必要があります。変革を促進するためには、リーダーシップやビジョンの明確化、組織全体へのコミュニケーションが必要となります。変革の意義や利益を従業員に伝えることで、意思疎通を図る必要があり、変革に伴うトレーニングやサポートの提供も重要です。時間を要する場合もありますが、継続的な努力とサポートを続けることで、目標を実現することができます。

 

4. デジタルマーケティングと顧客獲得の課題

企業にはデジタルマーケティングの知識やスキルの不足という大きな課題があります。
DXには、新たなデジタルチャネル・ツールの活用方法や戦略の策定が求められますし、デジタルマーケティングは年々競争が激化し、顧客獲得のコストが上がっているため、適切なターゲティングや顧客に対するパーソナライズドなアプローチも必要です。
加えて、データの活用とプライバシー保護のバランスも求められます。顧客の信頼を獲得する一方で、適切なデータ活用を行うための仕組み構築が必要です。
こうした施策を実現するためには、マーケティングチームのスキル強化、データの分析と活用、コンテンツの質向上などに積極的に取り組むことが有効です。

 

3.課題を克服するための4つのステップ

3-1.現状分析をする

まずは、自社の現状を分析することです。DXを導入するうえで、自社がどのような状態であり、どのような課題があるのか把握しなくてはなりません。この時大切なのは、経営層が認識している課題だけでなく、部署や支店などといった様々な現場から上がってくる課題を汲み取ることです。

 

3-2.DX推進の枠組みを構築する

現状分析が済んだら、DX推進の枠組みを整えていく必要があります。DXを通して自社がどのような状態を目指すのか、なぜDXを進める必要があるのか、どのような課題をどのように解決していくのか、といったビジョンを社内全体で共有することが大切です。DXは一部の人間だけで行うものではなく、企業が一丸となって推進する施策です。まずは従業員一人ひとりの意識を同じ方向に向けるため、研修やマニュアル作成などの社内整備を行う必要があります。

 

3-3.戦略とロードマップを決める

課題やビジョンが明確になり組織体制が整ったら、実践的な戦略を考え、ロードマップを作成する必要があります。ロードマップに関しては数か月先のものではなく、5年後10年後、さらにその先まで見据えて作成することが重要となります。継続的な改善を踏まえたうえで、達成したい成果や指標を具体的に示しましょう。

 

3-4.システムを構築する

ロードマップの作成が完了したら、それに沿ってデジタルツールやITシステムを導入します。社内の問題に即したツールを選定し、DXを推し進めていきましょう。

4.DXにおいて成功をおさめた中小企業

1.  オンライン決済プラットフォームの導入                     

ある飲食店チェーンが、オンライン決済プラットフォームを導入しました。これにより、顧客はモバイルアプリやウェブサイトを通じて、簡単かつ迅速に支払いができるようになりました。このプラットフォームの導入により店舗の売上が増加し、顧客満足度の向上にもつながっています。

 

2. デジタルマーケティングの活用                       

ある不動産会社は、デジタルマーケティングを積極的に活用しています。ウェブサイトの改善、SEO対策、ソーシャルメディアの活用、オンライン広告などを通じて、新規顧客の獲得とブランドの認知向上に成功しました。また、ターゲット広告の活用により、効率的に顧客との接点を拡大し、マーケットシェアの拡大と競争力を向上させました。

 

3. データ分析とAIの活用                           

ある保険会社は、データ分析とAI技術を活用して保険査定プロセスを構築しました。保険請求のデータを分析し、AIモデルでリアルタイム査定を行うことで、査定時間の大幅短縮に成功しています。また、保険プランの個別化や顧客パーソナライズ化なども実現しており、これらは、顧客満足度と業務効率向上につながっています。

 

4. デジタル顧客エクスペリエンスの向上                    

ある小規模銀行は顧客エクスペリエンス向上に注力しました。モバイルバンキングアプリの導入やオンラインサービスの強化により、顧客は自分の口座や取引情報に簡単にアクセスできるようになりました。また、AIチャットボットを導入することで、24時間365日の顧客サポートが可能となっています。

 

5.まとめ

DXは目的ではなく、ビジネス変革の手段として捉える必要があります。変革を行うためには、まず現状の課題を洗い出し、その課題を解決するために適切なプロセスを踏むことが大切です。今何が必要で、目的を達成するために何を導入すべきか、DXを推進するための準備をしっかり整えた上で実行に移していく必要があるでしょう。