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2023.10.10 DX導入

RPAで業務効率化!インボイス制度での活用例もご紹介

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「DXを推進していきたいけど何から始めれば良いか分からない」「生産性の向上業務効率化はどう取り組めばいいのか分からない」そのような企業の悩みは、RPAを導入することで解決できるかもしれません。本記事ではRPAの概要説明から、RPA導入によって可能になることまで詳しく解説します。
また、インボイス制度がいよいよ開始されました。インボイス制度では、消費税の申告や納税の負担の増加、請求書の様式変更、手続きの手間が増えるなど業務負担の増加がデメリットとして挙げられています。こうした業務の一部にRPAを活用することで、業務効率化が可能となります。本記事では、このようなインボイス制度におけるRPA活用例も合わせてご紹介します。

1.RPAとは

「RPA(Robotic Process Automation)」を日本語に訳すと、「ロボットによる業務自動化」という意味になります。作業手順を指示すると「ロボット」と呼ばれる作業システムが自動的に作業を進める仕組みです。パソコンで行うバックオフィス業務、具体的にはシステムやWebサイトからのデータ自動取得、取得したデータの転記、複数データを組み合わせたレポート作成などでよく活用され、業務効率化につながっています。
一方、状況に応じて内容が変わるような業務、マニュアル化できないような業務は不得意とされています。ただし、AI(人工知能)を搭載した高度なRPAであれば、ある程度の判断を伴う業務も遂行できるようになります。

2.RPAで何ができるのか?

全ての業務をRPAで自動化できるわけではありません。RPAが不得意とする業務に関しては、人間が関与する必要性があります。では、どこまでの業務をRPAに任せ、どこからの業務を人間が担当すればいいのでしょうか?この章ではそうした疑問について例を挙げながら解説します。

2-1.RPAで実現可能な業務効率化の例

➀請求書の作成業務

RPAを使えば、営業システムに入力されている注文データから数値情報を一部抽出し、毎月決まったタイミングで請求書の作成からプリントアウトするまでの業務を自動化できます。業務効率化につながり、余った時間を他の作業に充てられるだけでなく、入力ミスの削減にも繋がります。

 

②見積書の作成

見積書も自動で作成することが可能です。営業担当者が顧客からの要望内容をメールで送ると、ロボットが自動的に社内システムに情報を登録し、商品名や単価、個数はもちろん、納期や配送料までを含めた見積書を作成し、社内承認の依頼まで自動化することができます。データを一つひとつ手作業でExcelファイルに打ち込む必要がないのは魅力的です。
しかし、顧客との関係や発注量、在庫調整のために値段が下がるような、通常とは異なる見積もりに対しては対応が難しい為、営業担当者が個別に判断する部分は一般的なRPAで自動化することはできません。見積書のベースをRPAで作成し、顧客に提示する前の最終調整は担当者が行うのが、RPAの良い運用方法となるでしょう。

 

③勤怠管理

人事部門でもRPAが活用されています。例えば社員の勤怠管理を行う場合は、勤怠システムから残業が多い従業員や部署をリストアップし、担当者へ確認するよう自動でメール送信をするところまでRPAで自動化できます。RPAツール1つで、勤怠を一括管理できるため、社内の状況を知るよい機会にもなります。

 

④受注情報・在庫確認業務

RPAは、複数のシステムやアプリにまたがった業務も行うことができます。例えば、営業管理システムに入力されている受注情報のデータをダウンロードし、そのデータを商品管理システムと連携して在庫を調整することができます。その後、社内のメーラーから担当者への結果報告までも担うことが可能で、今までは自社専用のシステムを開発したり、手作業でデータ連携をする必要があった作業が、RPAによって自動化され、工数削減に繋がっています。

2-2.RPAが苦手としていること

先述したように、RPAは「判断する」業務が苦手です。RPAはあくまでも、ルールや手順に基づいたルーティン業務において効力を発揮します。

 

➀自力での判断

RPAはAI(人工知能)とは異なり、作業途中で本来の指示には無かったイレギュラーな事態が発生した場合にやるべき作業を判断することが出来ません。例えば、英数字で記入されるべき箇所に漢数字の入力があった場合、人間だと入力ミスという判断ができるのですが、RPAの場合はエラーが起きて作業がストップしてしまう可能性があります。こうしたエラーを感知した際、責任者にメッセージを転送する業務を組み込んでおくことは可能ではあるものの、自力で判断して作業内容を修正することはできません。

 

②ルールや手順の変更と複雑な作業

ルーティン化された業務の中にも、人間の判断が必要な複雑な手順が存在するケースがあります。それら全てをRPAに任せるといったことは合理的ではないでしょう。複雑な作業を要求するとエラーが頻発してしまうことも少なくないです。また、定期的に作業のルールや手順が変更されたり、ソフトウェアのアップデートによってRPAツールの設定変更が頻発する場合もRPA導入は難しいでしょう。

 

③手書き文字や画像の解析

RPAは、メールなどのテキストデータから内容を読み取ることはできますが、手書き文字や画像を読み取ることはできません。RPAを導入する業務において、どうしても手書き文字や画像の読み取りが必要なフローが存在する場合は、画像認識ソフトなどの別ツールを活用してテキストデータ化する必要があるでしょう。

 

3.マクロ・AI・産業用ロボットとの違い

〇マクロ機能との違い

ビジネスシーンでもっとも活用されている最も身近な自動化ツールといえば、Excelのマクロ機能でしょう。しかし、マクロ機能は自動化範囲がExcelなどのMicrosoft Officeアプリ内に限定されてしまいます。それに対し、RPAツールは様々なアプリケーションと連携するため、幅広い業務の自動化が可能です。例えば請求データを計算して、関係者への共有を行う課程において、データの入力や集計、メールの送信まで一気通貫して自動化することが可能です。また、マクロ機能では複雑な自動化処理を行う必要がある場合も、RPAを使えば、プログラミングの必要がなく比較的簡単に自動化できるケースも多く見られます。

 

〇AI(人工知能)との違い

業務自動化において、AIのことを思い浮かべる人も少なくないでしょう。RPAとAIの大きな違いは、自律的に判断できるかどうかです。RPAは、人間が設定したルールに従って作業を実行します。一方、AIは事前の学習に基づいて、自身の判断で作業を実行することができます。そうした違いを踏まえ、昨今はRPAとAIを連携させた自動化ツールも登場しています。

 

〇産業用ロボットの違い

ハードウェアである産業用ロボットは製造や物流における物理的な作業を自動化することができますが、高価な初期投資と専門的なプログラミングが必要です。 一方、RPAはソフトウェアであるため初期コストが低く、簡単に作業を設定できるところが特徴です。

4.RPAのメリットとデメリット

4-1.RPAのメリット

RPAの最大のメリットは、時間のかかる単純作業を自動化し、業務効率化を図れる点にあります。RPAのロボットは人間のように自ら考えて判断してくれるわけではありませんが、人員リソースを圧迫している比較的単純な業務をまとめて引き受けてくれます。そのような業務を自動化することで、人間にしかできない、会社にとって重要な業務に人員リソースを集中させることできます。

4-2.RPAのデメリット

デメリットとしては、導入費用がそれなりにかかってしまうことが挙げられます。また、使い方次第では、業務が属人化する可能性があります。例えば、RPAの担当者が会社の中でほんの数名しかおらず、他の社員への情報共有も行なわれていないため、限られた社員の中でRPA業務が完結してしまっている場合です。その他にも、アプリケーションのシステムエラーやネットワーク障害などの突発的なアクシデントによりRPAが動作しなくなり、指定作業が完了しないといった可能性も考えられます。どの業務をRPAで自動化するかを考える際は、このようなデメリットにも留意することが重要です。

 

5.RPAの導入事例

5-1.明細管理の効率化

ある企業では従業員から提出される交通清算書の金額チェックに多くの工数がかかっていたため、いくつかの業務を対象にRPAを導入したところ、大規模な工数削減に繋がりました。ボタンひとつで全従業員の明細を自動的に計算し、エクセルに反映することが可能になったため、ある程度の人数と時間を費やして集計していた作業がなくなりました。

5-2.ECサイト更新作業の効率化

オンラインショップやネット通販などのECサイトを自社で運営している企業にとって、ECサイトの日々の在庫管理や価格の更新等の作業は大きな負担となっています。RPAを導入し、情報更新を自動化することで社員の負担が軽減され、機会損失を減らすことが可能になりました。

5-3.商談日報の有効活用

ある企業ではRPAツールの導入により営業の商談日報が定期的にダウンロードされ、質問や改善要望、感謝の声などが自動で抽出されるようになりました。そのデータはカスタマーサポートに転送される仕組みになっており、工数をかけずに商談日報の有効活用が行われています。

6.インボイス制度におけるRPA活用

この章では最近注目されている「インボイス制度」におけるRPAの活用方法と効率化について解説します。

6-1.インボイス制度とは?

インボイス制度とは「適格請求書(インボイス)」と呼ばれる書類を発行し、管理することで、仕入税額控除を受けることができる制度です。仕入税額控除を受けるための請求書や納品書をフォーマット通りに発行する必要があり、現在法人個人問わず、数多くの事業者がその対応に追われている状況です。
では、2023年10月から開始されるインボイス制度においてRPAがもたらす効果について、事例をもとに説明します。

6-2.インボイス制度におけるRPAの活用事例

事例1

電子帳簿保存法の完全施行により、適格請求書(インボイス)の電子データでの保存が義務付けられるようになります。請求書のやり取り自体は電子と紙の両方で行うことができますが、途中まで紙でのやりとりが行われていても、最終的には電子化して保存する必要があります。こうしたケースの場合、事務処理がより煩雑になります。
そのため、請求書のやりとりは全て電子化して業務効率化に取り組む動きが、現在多くの企業で見られています。その際、RPAを導入することによって、請求書等をメールで受信した際、自動で請求書や領収書をダウンロードして所定のフォルダに保存する等、事務処理をより効率的なものにすることができます。

 

事例2

インボイス制度は、取引相手が適格請求書を発行できるかどうかが重要ですが、そのためには相手の事業者がインボイスを登録しているか確認する必要があります。この作業はRPAで自動化することができます。国税庁は適格請求書発行事業者登録を行っている事業者を公開しており、法人番号から検索することができるようになっているため、取引のある法人番号をインターネットから収集し、その番号が国税庁のページ上で登録されているかどうかをRPAによって自動で調査することができます。加えて、対応していない事業者に対しては対応時期の確認メールを自動で送ることも可能となります。

 

7.まとめ

この記事ではRPAでできること、できないことについて詳しく解説しました。RPAを活用することで上手く活用することで人的な負担は減り、会議やクライアントの対応、クリエイティブな作業に充てる時間を確保することができます。RPAで解決できる業務を見据え、業務効率化と生産性向上を目指して、自動化を進めてみてはいかがですか?