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2023.09.08 金融業界

【2023年 金融業界×DX】これだけで最新の金融DXが丸わかり

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これだけで最新の金融DXが丸わかり

金融業界は、顧客ニーズの変化に伴うサービスの向上や新しい規制要件、デジタル化の進展など、様々な変革が求められています。
そういった中で、金融DXは革新的なサービスの提供やビジネスモデルの変革につながる取り組みであり、コスト削減や顧客の満足度向上などといった様々なメリットをもたらすことが期待されています。金融DXには人工知能やブロックチェーン、ビッグデータなど、多様なデジタル技術が活用されています。これらのデジタル技術を組み合わせることで、より迅速かつ正確な判断や意思決定が可能になります。また、金融DXは従来の金融機関にとどまらず、テクノロジー企業やフィンテック企業などの新たな参入者にもチャンスを与えており、業界は変化と革新の渦の中にあります。
では一体、「金融DX」とは具体的にどういったものなのでしょうか?
現状の最新事例から未来の展望まで、金融DXが丸わかりになる内容となっておりますので、ぜひ最後までお読みください。

1.金融DXとは

1-1.金融DXの概要

金融DXとは、金融業界においてフィンテック、AI、ブロックチェーン、ビッグデータなどの新しいデジタルテクノロジーを利用し、業務プロセスの効率化や顧客サービスの向上、新しいビジネスモデルの構築、コスト削減、ビジネスの透明性向上、イノベーションの促進など、様々なメリットを生み出す取り組みを指します。具体例としてはネットバンキングやスマートフォンアプリによる取引、ロボアドバイザーによる投資アドバイス、顧客データの分析によるターゲットマーケティングなどが挙げられます。
金融DXの最大のメリットは、業務効率化によるコスト削減と顧客サービスの向上につながるところにあります。金融業界は元々、作業コストが高く煩雑な手続きが多々ありました。しかし、現在ではデジタルテクノロジーの導入によって、多大なコスト削減と業務の効率化を実現しています。また、顧客ニーズの多様化に対応するため、ネットバンキングやスマートフォンアプリなどを通じた顧客サービスの向上も図られています。
金融業界のDXを推進することによって、今後ますます多様化する顧客ニーズに柔軟に対応し、より高い競争力を維持することが求められています。

1-2.金融業界におけるDXの重要性

金融業界におけるDXの重要性は、業務の効率化やサービス改善、より良い顧客体験の提供、そして新しいビジネスの創出などです。IT人材の確保や既存システムの老朽化、風土の問題などが金融業界におけるDXの課題として挙げられますが、DXが行われないままでは「2025年の崖」と呼ばれる競争力の低下や経済的な損失を生むリスクがあるため、業界全体でのDXの推進が急務となっています。
DXの例として、AIやデータの活用、RPA、クラウドの導入などが挙げられますが、その中で金融業界が実施すべきDXについて、以下でより詳しく解説します。

 

2.金融業界が実施すべきDXについて

1. クラウドの導入

金融業界におけるクラウド技術の導入は最も重要なステップです。これまでオンプレミス型で運用していたサーバーやシステム環境をクラウドに置き換えることで、データのアクセスと管理の向上、柔軟なシステムのスケーリング、コスト削減、革新の促進など多岐にわたる変化とメリットをもたらします。これらのメリットから、現在では多くの企業がクラウドを積極的に導入しています。

 

2. AIの導入

金融業界は定型業務が多い業界です。AIを導入することで業務の効率化や、正確かつ迅速なデータ分析を可能にするなど、さまざまなメリットが見込めます。例えば、AIは24時間対応のチャットボットを可能にし、顧客の問い合わせに迅速に対応しています。これにより顧客満足度の向上とサポート担当者の負担軽減が実現します。リスク管理の面では、大量のデータを高速に分析し、不正取引の検出やクレジットリスクのより精緻な評価が可能になり、効率化を図ることができます。また、投資分野においても、市場の動向の分析と投資戦略の最適化サポートを行えるため、より賢明な投資判断を可能にします。
AIの導入は金融業界におけるサービスの質の向上、コスト削減、新たなビジネスチャンスの創出など、DXに大きな影響をもたらします。

 

3. IoTの導入

IoT(Internet of Things)は、より効率的でパーソナライズされた金融商品とサービスを提供することを可能にします。あらゆるタッチポイント(ATM使用時、資産取引時、製品購入時など)において、使用できるデータの種類が豊富であるほど、金融企業は顧客のビジネスニーズを特定し、顧客へのエンゲージメントを推進しやすくなります。また昨今、スマートウォッチなどのウェアラブルデバイスもセキュリティ認証を使用できるようになりました。指紋や顔認証などの個人データをこれらのデバイスが扱うことで、オンラインバンキングのセキュリティを強化することができます。

 

4. オープンAPIの活用

金融業界におけるAPI(Application Programming Interface)の活用は、昨今のテクノロジー革新において重要なトピックとなっています。オープンAPIは金融サービスの進化を促し、広範囲にメリットをもたらします。オープンAPIによって、他企業のサービスやプラットフォームと連携したサービスを提供することが容易になります。これにより、消費者に対して多様な選択肢を提供することが可能になるとともに、より正確な顧客分析も可能になります。また、システム連携がスムーズになるため、手動でのデータ入力やエラーチェックなどを削減できるメリットを持っています。

 

5. 生体認証の活用
生体認証は、顔や指紋など個人の固有の特徴を認識する技術です。この特性により、従来のパスワードや暗証番号よりも高いセキュリティが確保されています。また、生体認証の導入によって、ログインや認証のプロセスが迅速になります。指紋や対面スキャンするだけで認証が完了するため、利用者は複雑なパスワードを保持する必要がなく、サービスの利用がスムーズになります。これにより利用者の満足度が向上し、金融サービスへのアクセスがより快適になります。

 

3.現在の金融業界DX

金融DXは、世界中の金融業界で急速に進んでおり、特にCOVID-19パンデミックによって、金融業界におけるDXの需要は更に高まっています。
金融業界において、DXが進んでいる状況は企業や地域によって異なりますが、保有する大量のデータを分析してビジネスに生かすための取り組みや、人工知能、ロボット技術などのテクノロジーの活用が進んでいます。さらに、金融業界におけるDXの一環として、オンラインバンキングやスマートフォンアプリの開発が進んでおり、これらのサービスは人的コストの削減だけでなく、顧客にとってより便利でスピーディーな金融取引を可能にしています。また、顧客との接点がオンラインに移行することで、新たなビジネスモデルの創出や顧客との関係性の強化にもつながります。
このように、金融業界はDXを進めることで業務の効率化やコスト削減、新たなビジネスモデルの創出や顧客体験の向上など様々なメリットを得ることができるとされており、今後ますます競争力を高めていくことも期待されています。
ですが一方で、金融業界におけるDXはセキュリティやプライバシーなど、いくつかの課題も抱えています。

4.金融DXにおける課題

金融業界におけるDXの課題は下記のようなものです。

 

1. セキュリティの確保

個人情報や金融取引情報を扱う金融業界において、情報のセキュリティは非常に重要です。
金融サービスに関する情報やデータは、機密性が高く、不正アクセスやデータ漏洩などの被害が発生すると大きな損失や信頼の失墜につながる可能性があります。そのため、金融機関は適切なセキュリティ対策を講じることが求められます。DXが進むことによってより多くの情報がオンラインでやり取りされるようになるため、さらに高度なセキュリティの確保、対策の強化が必要となります。 

 

2. 人材確保

金融DXにおいて、適切な人材を確保することは、重要な課題の一つです。
特に、デジタル技術を活用し、より高度な金融サービスを提供するためには、多様な専門知識とスキルが必要で、具体的にはプログラミングやシステム開発のスキルを持つ技術者や金融商品、法律・規制などの専門知識を持つ人材が必要となります。しかし金融業界は競合が激しく、DXに必要な技術や知識を持った人材を確保することが難しいのが現状です。

 

3. システムの更新

金融機関のシステムは長い年月を経て開発されたものであるため、既存のシステムを更新するためのリソースが限られていたり、システムの老朽化によって新しい技術を導入することが困難な場合があります。その場合、システムの更新が必要となりますが、そうした更新にかかるコストや時間も金融DXにおける課題の一つです。

 

4. 顧客体験の向上

金融業界は、顧客からの信頼性が求められる業界であり、顧客体験の向上が課題となっています。
顧客にとって、オンラインでの取引やサービスがスムーズであることが重要であり、そのためのシステム改善や顧客に対するカスタマイズサービスの提供が必要となります。

 

5. 業界規制の変化への対応

金融業界は規制が厳しく、かつその規制内容が変化することがあり、DX推進においても、こうした規制の変化への対応が求められます。そのため、法律や規制に精通したスタッフやコンサルタントの協力が必要となります。

 

5.金融DX事例10選

これまでにDXを進めた金融機関の事例として下記のような例が挙げられます。

 

1. AIを活用した顧客対応の自動化

AIを活用した顧客対応の自動化が進められています。
顧客の問い合わせに対して、自動応答ボットが回答することで、顧客の待ち時間を減らし、業務プロセスの効率化を図っています。

 

2. デジタルモーゲージの活用

デジタルモーゲージを活用することで、顧客はスマートフォンやPCを使って住宅ローンや審査状況の確認を行うことができます。

 

3. デジタルバンキングの推進

デジタルバンキングの領域においては、オンラインバンキングやモバイルバンキングの利用が推進されています。
顧客は、24時間いつでもどこでも口座の確認や振込、投資商品の購入ができるため、利便性の向上につながっています。

 

4. ブロックチェーン技術の活用

ブロックチェーン技術の活用は、業務プロセスの効率化につながります。
例えば、貿易金融における書類管理や、不動産取引における契約書の管理などが挙げられます。

 

5. ロボアドバイザーの導入

ロボアドバイザーを導入することで、顧客に対する個別の投資アドバイスを提供できます。
顧客の投資目的やリスク許容度に合わせた最適な投資商品の選定を行うことができるため、顧客の満足度の向上につながっています。

 

6. クラウドファンディングサービスの提供

某証券会社などでは、クラウドファンディングサービスの提供を行っています。
このサービスは個人投資家が少額から投資できるため、新たな投資家の開拓につながっています。

 

7. スマートATMの導入

スマートATMの導入により、顧客が自分で必要な業務を行えるようになりました。
例えば、通帳記帳や現金の入出金などをスマートフォンで行うことができ、待ち時間の短縮や業務効率化につながっています。

 

8. RPAによる業務効率化

RPA(Robotic Process Automation)を活用することで、手作業による煩雑な業務を自動化することできます。
結果として社員の負担を軽減し、顧客サービスの向上につながっています。

 

9. AIによる自動売買の提供

AIを活用した自動売買の提供を行うことで、顧客の投資スタイルやリスク許容度に応じた投資アドバイスを提供することができ、顧客の投資効率化を支援することができます。

 

10. イメージファイリングツールの導入

イメージファイリングツールを導入することで、支店業務の効率化と文書保管コストの削減につながります。
ペーパレス化が促進されるとともに、作業時間も大幅に削減することができます。

 

6.金融業界におけるDXのメリット

金融業界においてDXが進むと、下記のようなメリットがあります。

・コスト削減 

・業務プロセスの効率化 

・新たなビジネスモデルの創出 

・ユーザーエクスペリエンスの向上

 

1. コスト削減

金融DXにより業務の自動化が進むことで、人件費を削減することができます。
顧客サポートの自動化や、申請書類の自動処理により、従業員の労働時間を削減でき、人件費を抑えることが可能になります。また、オンライン上での取引が増えることで、店舗の維持費用を削減することも可能になります。
さらに金融DXは同時にペーパーレス化へもつながります。
書類や報告書を電子化し、ペーパーレスにすることで、印刷や郵送のコストを削減したり、ファイリングや保管にかかるスペースや人件費を削減したりすることが可能です。データ管理の効率化や業務プロセスの迅速化が可能になるため、生産性の向上にもつながります。また、環境への負荷を減らすことにもつながるため、CSR活動にも一役買うことができます。

 

2. 業務プロセスの効率化

金融DXによって業務プロセスの効率化も期待できます。 

例えば、ワークフローの自動化が可能になり、承認プロセスや申請プロセスの手順が自動的に処理され、時間や手間の削減が可能になるといったことが挙げられます。また、情報共有が迅速に行えるようになるため、クラウドストレージや共有フォルダにデータを保存することで、社内での情報共有が容易になります。データの整理や検索も容易になり、データベースや検索ツールを使用することで、必要な情報を迅速に検索することができたり、ペーパーレスになることで紙の書類を扱うことによるミスを軽減することも可能です。手書きの書類による文字化けや不鮮明な文字になることを防ぎ、書類の紛失を防止することにもつながります。
金融DXにより、業務プロセスの自動化やデータの可視化、RPAによる自動化、さらにモバイルデバイスやクラウド技術による場所と時間の制限の解消などが期待され、これらによって金融業務の効率化が促進されます。

 

3. 新たなビジネスモデルの創出

さきほど金融DXが進むことで、ペーパーレス化も進むと述べましたが、それによる新たなビジネスの展開も期待されています。ペーパーレス化がもたらす金融業界の新たなビジネスの具体例として、以下の5つが挙げられます。

 

オンライン証券取引

ペーパーレス化により、証券取引のオンライン化が進み、新たな証券取引のビジネスモデルが生まれました。手数料が安価で取引スピードが速く、オンラインで口座開設ができる証券会社が増え、投資家にとっての選択肢が増えています。

 

②AIによる投資アドバイスサービス

蓄積された大量の取引データをペーパーレス化しデータとして保存することで、AI技術を活用して分析し、顧客に合わせた投資アドバイスを提供するサービスが登場しています。顧客の投資目的やリスク許容度に応じて、最適な投資商品を提案するサービスや、ポートフォリオの自動最適化を行うサービスが挙げられます。

 

③オンライン決済サービス

ペーパーレス化により、オンライン決済サービスが一般的になりました。例えば、スマートフォンでQRコードを読み取り、簡単に支払いができるサービスや、仮想通貨を使った決済サービスなどがあります。これにより、現金やカード決済に比べて、スピーディーかつ安全に決済ができるようになりました。

 

④AIを活用した顧客サービス

銀行の顧客情報がデジタル化され、AI技術を活用した顧客サービスが普及しました。顧客の口座情報や取引履歴を分析することで、顧客のニーズや嗜好を把握し、より個別化されたサービスを提供することができます。

 

⑤データ分析を活用したリスク管理  

銀行の取引履歴や顧客情報がデジタル化され、大量のデータが蓄積されるようになりました。これにより、データ分析を活用したリスク管理が可能になり、金融犯罪の早期発見や防止に活用されるようになりました。

 

ペーパーレス化は単なるコスト削減や業務効率化だけでなく、新たなビジネスモデルの創出にもつながる可能性があります。 金融機関は自社の業務プロセスを見直し、ペーパーレス化を進めることで、顧客ニーズに合った新しいサービスの提供に挑戦していくことが重要です。

 

4. ユーザーエクスペリエンスの向上

金融DXが進み、業務が効率化し新たなビジネスモデルが創出されることによって顧客の利便性が向上することも期待できます。例えば、オンラインバンキングやモバイルバンキングによって、顧客は自宅や外出先から銀行取引を行うことができます。
また、人工知能や自然言語処理を活用したチャットボットやロボットアドバイザーによって24時間365日、迅速かつ正確な情報提供やアドバイスを受けることも可能です。顧客のニーズに合わせてカスタマイズされた製品やサービスの提供も可能になり、満足度の向上につながることが期待されています。

7.DXツールを導入する際のステップ

DXツールを導入する際のステップには、一般的に以下のようなプロセスがあります。

 

1. 課題のヒアリング 

現場の利用者や関係者とのコミュニケーションを通じて、業務上の課題や改善の必要性を把握しましょう。
最終的な目標を明確に定めることも必要不可欠です。

 

2. 業務の棚卸 

現在の業務フローを明確に把握し、業務の中でのボトルネックやムダを洗い出しましょう。
業務の全体像を把握することで、DXツールの導入による改善ポイントを特定しやすくなります。

 

3. 短中長期課題の設定 

短期的な課題から中長期的な課題までを設定し、優先順位をつけることが重要です。
短期的な課題は、効果を早期に実感しやすいものを選定しスピーディーに改善を図ります。中長期的な課題は、長期的なビジョンや戦略に基づいて持続的な改善を行うための取り組みを計画します。

 

4. テスト運用 

導入するツールの機能や性能を確認し、現場での利用イメージをつかむためのテスト運用を実施しましょう。
テスト運用をすることによって、導入前に問題点を発見し、改善を加えることができます。 

 

5. 本導入 

ツールの導入手順に従い、システムやデータの移行を実施しましょう。
また、ツールを利用する従業員に対してトレーニングや教育を実施し、正確かつ効果的にツールを活用できるようにサポートを行いましょう。

 

6. 持続的な改善と拡大展開 

DXツールの導入は一度の取り組みに終わらず、持続的な改善を行っていくことが必要です。
定期的な評価やフィードバックを活用しツールの運用を見直すことで、新たな課題や改善のポイントを発見し続けましょう。また、成功事例をもとに他の部門や業務にもツールを拡大展開していくことで、より効果的なDXの実現が可能となります。

 

7. 組織の変革と業務の見直し 

DXツールの導入は組織の変革や業務の見直しを伴う場合があります。
組織内の文化やルール、業務プロセスの見直しや再設計を行い、DXツールを活用するための体制を整えましょう。また、ツールの導入によって生じる業務の変化や効率化に合わせて従業員の教育や育成を行い、組織全体でのDX文化を定着させることが重要です。 

 

以上のように、DXツールを導入する際にはステップを踏むことが重要です。
これらのステップを丁寧に実行し、ニーズや組織の状況に合わせた効果的なDXツールの導入を行うことで業務の効率化やイノベーションを実現することができます。

 

 

8.まとめ

金融DXは、金融業界において重要な取り組みとなっており、業務プロセスの効率化やコスト削減が可能になることで、業界全体の成長につながることも期待されています。
ただしそれには、人材やシステムの更新、業務プロセスの見直しなど、いくつかの課題も伴います。
これらの課題の解決に注力しながらDXを積極的に推進することで、企業は多様化する顧客ニーズに柔軟に対応し、より高い競争力を維持することができるでしょう。