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2025.10.17 DX導入

AI-OCRで業務効率化とDXを加速|導入メリットと活用事例を徹底解説

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紙の書類を扱う業務において、手作業によるデータ入力や確認作業は、時間と人手を要する非効率なプロセスです。多くの企業が業務効率化やペーパーレス化を目指しているものの、どこから着手すべきか分からず、改善が進まないケースも少なくありません。こうした課題に対して、AI-OCRは強力な解決策となります。
AI-OCRは、従来の技術に人工知能を組み合わせることで、手書き文字や非定型帳票にも対応できる高精度な文字認識を実現し、業務の自動化とデジタル化を推進します。 

本記事は、株式会社プリマジェストが豊富な知見に基づき監修しています。当社では、AI-OCRと独自の画像処理技術を活用し、帳票や申請書類などの紙業務を自動化することで、お客様の業務効率化と正確なデータ化を支援しています。金融・公共・流通業界での豊富な導入実績を持つ専門家として、本記事ではAI-OCRの基本的な仕組みから導入メリット、業界別の活用事例、導入ステップ、そしてDX推進への貢献までを網羅的に解説します。 

 

>>株式会社プリマジェストのAI活用事例(業務効率化した成功事例の一覧はこちら) 

1.AI-OCRとは?従来OCRとの違いと進化ポイント 

紙の書類を扱う業務において、手作業によるデータ入力や確認作業は、時間と労力を要する非効率なプロセスです。こうした課題を解決する技術として注目されているのが「AI-OCR」です。AI-OCRは、従来のOCR(光学文字認識)に人工知能(AI)技術を組み合わせることで、文字認識の精度と対応力を飛躍的に高めた進化型のOCRです。 

1-1.OCRとAI-OCRの違い 

従来のOCRは、印刷された定型フォーマットの帳票に対しては一定の認識精度を発揮しますが、手書き文字やレイアウトが異なる非定型帳票には対応が難しく、目視確認や修正作業が必要になるケースが多くありました。一方、AI-OCRは、機械学習やディープラーニングといったAI技術を活用することで、手書き文字やクセのある文字、レイアウトが不規則な帳票でも高精度に読み取ることが可能です。 

 

1-2.AI-OCRの進化ポイント 

AI-OCRの最大の特徴は、継続的な学習によって認識精度が向上する点です。使用を重ねることで、AIが新しい文字のパターンや帳票のレイアウトに適応し、より正確な認識が可能になります。これにより、従来は人手による確認が必要だった帳票処理が自動化され、業務の効率化と品質向上を同時に実現できます。

また、AI-OCRは、印刷文字だけでなく、手書き文字や印影、記号などにも対応しており、帳票の種類や形式に左右されることなく、柔軟に運用できる点も大きな利点です。企業が扱う多様な書類に対して、統一的かつ高精度なデータ化を可能にするAI-OCRは、業務のデジタル化とDX推進において、欠かせない技術となっています。 

2.AI-OCRの仕組みと技術的特徴

AI-OCRは、従来のOCR技術に人工知能(AI)を組み合わせることで、紙の帳票に記載された情報を高精度にデジタル化する文字認識技術です。画像処理、文字認識、文脈理解といった複数の技術が統合されており、業務の自動化と効率化を支える重要な役割を担っています。 

処理の最初の段階では、スキャンされた帳票画像に対して高度な前処理が行われます。ノイズ除去や傾き補正、コントラスト調整などの画像処理によって、文字領域が明確に抽出され、認識精度の向上につながります。特に手書き文字や非定型帳票では、文字の位置や形状が一定でないため、前処理の精度が結果に大きく影響します。 

次に、AIモデルが文字の形状やパターンを解析し、印刷文字だけでなく手書き文字や歪みのある文字もテキストデータに変換します。さらに、自然言語処理の技術を活用することで、文脈を理解しながら必要な情報を正確に抽出します。たとえば、複数の候補がある日付や金額の中から、文脈に沿った正しい項目を識別することが可能です。 

抽出されたデータは構造化され、CSVやExcel形式、APIなどを通じて業務システムと連携できます。AI-OCRは使用を重ねることで学習し、認識精度が向上するため、運用を続けるほど業務効率が高まります。 

 

3.AI-OCR導入のメリット 

AI-OCRを業務に導入することで、企業は多方面にわたるメリットを享受できます。単なる文字認識技術にとどまらず、業務効率化、コスト削減、ペーパーレス化、そしてDX推進の基盤として、AI-OCRは重要な役割を果たします。 

3-1.業務効率化と時間短縮 

AI-OCRは、紙の帳票から必要な情報を自動で抽出し、デジタルデータとして活用できるため、従来の手作業による入力作業を大幅に削減できます。請求書や申込書、アンケートなどの処理において、1件あたり数分から数十分かかっていた作業が、スキャンするだけで完了するようになります。これにより、従業員はルーチン業務から解放され、より付加価値の高い業務に集中できるようになります。 

3-2.コスト削減とリソースの最適化 

データ入力業務の自動化は、人件費の削減に直結します。さらに、紙書類の保管に必要なスペースや管理コストも不要となり、物理的なコストの削減にもつながります。AI-OCRは24時間稼働が可能であり、時間に縛られず業務を遂行できるため、人的リソースを戦略的な業務へと再配置することが可能になります。 

3-3.ペーパーレス化とヒューマンエラーの削減 

紙媒体での情報管理は、保管や検索、共有の面で非効率であり、業務のスピードや正確性に影響を与えます。AI-OCRを活用することで、紙書類のデジタル化が進み、情報へのアクセス性が向上します。また、手作業による入力ミスや転記漏れといったヒューマンエラーを大幅に削減できるため、業務品質の向上にも寄与します。 

3-4.DX推進の基盤としての役割 

AI-OCRは、業務のデジタル化を促進する技術として、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を支える基盤となります。紙の情報をデジタル化することで、社内に散在していた情報を一元管理できるようになり、データに基づいた意思決定や業務改善が可能になります。AI-OCRの導入は、単なる業務効率化にとどまらず、企業の競争力強化にもつながります。 

AI-OCRのメリット・デメリットについては、以下も参考にしてください。 

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4.業界別AI-OCR活用事例 

AI-OCRは、業種や業務内容を問わず、紙書類を扱うあらゆる現場で活用されています。ここでは、実際に導入が進んでいる主要業界における活用事例を紹介します。 

4-1.自治体・公共機関

自治体では、住民から提出される申請書やアンケート、各種証明書などの処理にAI-OCRが活用されています。手書きで記入された書類が多いため、従来は職員による目視確認と手入力が必要でした。AI-OCRを導入することで、手書き文字の自動認識が可能となり、受付からデータ登録までの業務を効率化できます。これにより、窓口対応のスピード向上や職員の負担軽減が実現しています。 

4-2.製造業

製造業では、注文書や納品書、作業指示書など、取引先とのやり取りに紙帳票が多く使われています。フォーマットが企業ごとに異なるため、従来のOCRでは対応が難しいケースもありました。AI-OCRは非定型帳票にも対応できるため、複数のフォーマットを一括で処理することが可能です。これにより、受発注業務のスピードと正確性が向上し、在庫管理や生産計画の精度にも好影響を与えています。 

4-3.医療機関

医療現場では、問診票や同意書、診療記録など、患者が手書きで記入する書類が多数存在します。これらの情報は、診療前に迅速かつ正確にシステムへ登録する必要があります。AI-OCRを活用することで、手書き文字の自動認識が可能となり、受付業務の効率化と患者対応の質向上につながります。また、紙の保管スペース削減や情報共有の迅速化にもつながります。 

4-4.金融業界

金融機関では、契約書や申込書、本人確認書類などの処理にAI-OCRが導入されています。これらの書類は法的な正確性が求められるため、認識精度が非常に重要です。AI-OCRは、手書き文字や印影、記号なども高精度で読み取ることができ、情報の抽出とデータベース化を自動化します。これにより、審査業務のスピードアップと人的ミスの削減が実現し、顧客対応の品質向上にもつながっています。 

4-5.その他の活用例

AI-OCRは、アンケート用紙、領収書、FAXで送られてくる注文書など、業界を問わず多様な帳票に対応しています。特に、自由記述欄のある書類や、手書きで記入された申請書などは、従来のOCRでは処理が困難でしたが、AI-OCRの導入により、これらの情報も正確にデータ化できるようになっています。 

 

>>株式会社プリマジェストのAI活用事例(事例一覧を見る) 

5.AI-OCR導入ステップ 

AI-OCRを効果的に導入するためには、現状の業務課題を正しく把握し、段階的な計画に基づいて進めることが重要です。ここでは、導入の流れを5つのステップに分けて解説します。 

5-1.業務課題の整理と帳票の洗い出し 

まずは、現在の業務フローを可視化し、紙帳票の種類や処理件数、作業時間などを洗い出します。どの業務にAI-OCRを適用することで最も効果が出るかを明確にすることが、導入成功の第一歩です。 

5-2.対象業務の選定とツールの比較検討 

洗い出した帳票の中から、導入効果が高い業務を優先的に選定します。その上で、自社の要件に合ったAI-OCRツールを比較・検討し、必要に応じてスキャナーなどの周辺機器も選定します。 

5-3.テスト導入(PoC)による精度検証 

実際の帳票を使って、AI-OCRの認識精度や運用フローを検証します。この段階で、帳票のレイアウトや記載内容に応じた調整を行い、実運用に向けた課題を洗い出します。 

本導入と業務フローへの組み込み 

テスト結果を踏まえて本導入を行い、業務フローにAI-OCRを組み込みます。RPAなどの自動化ツールと連携することで、入力から処理までの一連の業務を自動化することも可能です。 

5-4.運用開始後の改善と精度向上 

導入後も、定期的に設定の見直しや学習データの追加を行い、認識精度の維持・向上に努めます。業務の変化に応じて柔軟に対応できる体制を整えることが重要です。 

6.AI-OCRとRPAの連携による業務自動化 

AI-OCRは紙帳票の情報をデジタル化する技術であり、RPA(Robotic Process Automation)はそのデータを活用して業務処理を自動化する技術です。両者を連携させることで、紙から始まる業務フロー全体を自動化することが可能になります。 

6-1.RPAとは?AI-OCRとの役割分担 

RPAは、人がパソコン上で行っている定型的な操作を、ソフトウェアロボットが代行する仕組みです。例えば、システムへのデータ入力、ファイルの作成、メール送信など、繰り返しの多い業務を自動で処理します。 

一方、AI-OCRは紙の書類から文字情報を読み取り、デジタルデータに変換する役割を担います。つまり、AI-OCRが「入力」を担当し、RPAが「処理」を担当することで、紙帳票から始まる業務を一気通貫で自動化することができます。 

6-2.連携による業務フローの自動化 

AI-OCRとRPAを連携させることで、以下のような業務が自動化されます。 

請求書の受領から会計システムへの登録

・契約書の情報抽出と契約管理システムへの反映

・領収書の読み取りと経費精算システムへの入力

・顧客申込書のデータ化とCRMへの登録 

これらの業務は、従来は担当者が紙書類を確認し、手作業でシステムに入力していました。AI-OCRとRPAの連携により、書類をスキャンするだけで必要な情報が抽出され、後続の処理まで自動で完了します。 

6-3.自動化による業務改善効果 

この連携によって得られる効果は多岐にわたります。まず、手作業による入力ミスが減少し、業務の正確性が向上します。また、処理時間が短縮されることで、従業員の負担が軽減され、より付加価値の高い業務に集中できるようになります。 

さらに、RPAは条件分岐や複数システム間の連携にも対応できるため、AI-OCRで取得したデータをもとに、承認フローの自動化や関連部署への通知、データベースの更新など、複雑な業務プロセスも自動化することが可能です。 

AI-OCRとRPAの連携は、紙業務のデジタル化だけでなく、業務全体の生産性向上に直結するソリューションとして、多くの企業で導入が進んでいます。 

7.OCR機器との連携

AI-OCRは、紙帳票の情報を高精度にデジタル化するソフトウェア技術ですが、OCR専用スキャナーなどの機器と連携することで、より効率的かつ安定した運用が可能になります。特に、大量の帳票を短時間で処理する必要がある業務では、ハードウェアとの連携が業務全体の生産性に大きく影響します。 

OCR機器は、読み取り速度や画像の安定性に優れており、AI-OCRとの組み合わせによって、スキャンからデータ抽出までの流れをスムーズに実行できます。帳票の種類や枚数に関係なく、安定した処理が可能となるため、業務の負荷軽減と処理品質の向上が期待できます。 

こうした成果を得るためには、帳票のレイアウトや記載内容に応じた前処理が重要です。特に、手書き文字や非定型帳票では、ノイズ除去や傾き補正などの画像処理が認識精度に直結します。また、AIモデルによる継続的な学習により、運用を重ねるほど精度が向上する仕組みも、安定した成果を得るための重要な要素です。 

プリマジェストが提供するAI-OCRソリューションは、こうした技術的要件に対応しており、手書き文字や非定型帳票にも柔軟に対応できます。OCR機器との連携により、紙帳票の処理における課題を効率的に解決し、業務の自動化と品質向上を支援します。 

 

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8.AI-OCR導入で得られるDXの効果 

AI-OCRの導入は、単なる業務効率化にとどまらず、企業のDXを加速させる重要な技術として位置づけられています。紙ベースの業務をデジタル化することで、情報の活用範囲が広がり、組織全体の意思決定や業務改善に直結する環境が整います。 

8-1.デジタル化とペーパーレス化の促進 

AI-OCRは、紙の書類に記載された情報を正確にデジタル化することで、ペーパーレス化を強力に推進します。これにより、物理的な保管スペースの削減、書類検索の迅速化、紛失リスクの低減といった効果が得られます。デジタル化された情報は、社内外での共有が容易になり、テレワークやリモート対応にも柔軟に対応できる環境を構築できます。 

8-2.データ活用による意思決定の高度化 

AI-OCRによってデジタル化されたデータは、単なる保存にとどまらず、業務改善や戦略立案に活用できる資産となります。例えば、経費精算や契約管理のデータを分析することで、コスト削減の機会を発見したり、顧客の傾向を把握して新たなサービス開発につなげたりすることが可能です。 

蓄積されたデータをもとに、部門横断的な情報共有やリアルタイムでの状況把握が可能になり、経営層の意思決定のスピードと精度が向上します。これにより、変化の激しい市場環境においても柔軟かつ迅速な対応が可能となり、企業の競争力強化につながります。

 

AI-OCRは、業務のデジタル化を起点として、情報の活用、業務の自動化、意思決定の高度化へとつながるDXの流れを支える技術です。導入によって得られる効果は、単なる作業効率の改善にとどまらず、企業全体の変革を促す力を持っています。 

9.AI-OCRを活用して業務効率化とDXを加速しよう

AI-OCRは、紙帳票の情報を高精度にデジタル化し、業務の効率化と自動化を実現する技術です。従来のOCRでは対応が難しかった手書き文字や非定型帳票にも柔軟に対応できるため、幅広い業務で活用されています。 

導入によって得られるメリットは、作業時間の短縮、人件費の削減、ペーパーレス化、ヒューマンエラーの防止など多岐にわたり、企業のDX推進にも大きく貢献します。さらに、RPAとの連携やOCR機器との組み合わせにより、紙から始まる業務フロー全体の自動化が可能になります。 

業界別の活用事例や導入ステップを踏まえ、AI-OCRは単なる効率化ツールではなく、業務改革とデジタル化の起点となる技術です。自社の課題に合わせてAI-OCRの導入に取り組み、業務効率化とDX推進を加速させましょう。 

9-1.AI-OCRで紙業務のムダをなくし、業務効率化を推進 

紙業務の処理に時間がかかっている、入力ミスが多いといった課題を感じていらっしゃいませんか。
プリマジェストでは、AI-OCRと独自の画像処理技術を活用し、帳票や申請書類などの紙業務を自動化することで、業務効率化と正確なデータ化を支援しています。 

金融・公共・流通分野での豊富な導入実績をもとに、クラウド連携やBPOサービスとの組み合わせによる柔軟な対応も可能です。まずはサービス内容や導入事例をご覧いただき、ぜひお気軽にお問い合わせください。 

 

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