COLUMN

2025.12.12 官公庁業界

自治体DXとは?最新動向と背景、課題・事例・進め方

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自治体DXとは?

民間企業でデジタル化が急速に進む中、自治体でもDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進が強く求められています。2021年にデジタル庁が発足してから数年が経過し、国は「誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化」を掲げて行政サービスの変革を進めています。しかし、現場ではアナログ文化の根強い慣習や人材不足、予算制約といった課題が依然として存在し、思うようにDXが進まない自治体も少なくありません。

一方で、クラウド標準化や行政手続きのオンライン化、マイナンバーカードの普及促進、AIやRPAの導入など、DXを加速させる取り組みは着実に広がっています。さらに、生成AIやゼロトラストセキュリティといった最新技術の活用も始まり、自治体の業務効率化や住民サービスの質向上に向けた動きは新たな局面を迎えています。

 

本記事では、自治体DXの最新定義と背景、総務省の推進計画、技術トレンド、課題と解決策、全国の先進事例、そして実務で役立つ進め方まで、2025年時点の最新情報をもとに詳しく解説します。自治体職員の方や、地域のデジタル化に関心を持つ方はぜひ参考にしてみてください。

目次

1.自治体DXとは?最新の定義と背景

自治体DXとは、デジタル技術を活用して行政サービスや業務プロセスを抜本的に改善し、住民の利便性向上と職員の業務効率化を実現する取り組みです。DXは「Digital Transformation(デジタル・トランスフォーメーション)」の略で、単なるIT化やシステム導入にとどまらず、組織や業務のあり方を根本から変革することを意味します。

 

政府は2020年に「デジタル社会の実現に向けた改革の基本方針」を策定し、「誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化」を掲げました。この方針を受け、2021年にはデジタル庁が発足し、自治体においてもDX推進が急務となっています。背景には、人口減少や少子高齢化、財政制約、人材不足といった構造的課題があります。従来の紙ベースや対面中心の行政サービスでは、こうした課題に対応することが難しくなっているのです。

1-1.自治体DXの目的

自治体DXの目的は、住民サービスの質を高めると同時に、職員の負担を軽減し、限られたリソースで持続可能な行政運営を実現することです。企業DXが競争優位性や収益拡大を目的とするのに対し、自治体DXは公共性と包摂性を重視します。誰一人取り残さないデジタル化を進めることが最大の使命です。
自治体DXの具体的な目的は次の通りです。

 

・住民サービスの利便性向上(オンライン申請、ワンストップ手続き)

・職員の業務負担軽減(ペーパーレス化、RPA・AIによる自動化)

・財政効率化とシステム標準化によるコスト削減

・災害や感染症など非常時でも継続可能な行政体制の構築

 

成果指標としては 「窓口来庁回数の削減」「処理時間の短縮」「住民満足度の向上」などが挙げられます。

1-2.自治体DXの重要性

2025年現在、自治体DXの必要性はさらに高まっています。総務省の推計では、2040年には75歳以上の人口が2,200万人を超え、労働力人口は大幅に減少します。地方公務員の数も減少傾向にあり、従来の業務体制では行政サービスの維持が困難になる恐れがあります。こうした状況に対応するため、自治体DXは「選択肢」ではなく「必須の改革」となっています。加えて、災害や感染症などの非常時にも行政サービスを継続できる体制を整えることが求められています。

2.2025年版 自治体DX推進計画の概要

自治体DXの推進において、総務省が策定した「自治体デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進計画」は重要な指針です。この計画は2021年から2026年までを対象期間とし、自治体が重点的に取り組むべき施策を明示しています。2025年現在、計画は中盤に差し掛かり、標準化やオンライン化、セキュリティ強化などの取り組みが加速しています。

 

参考:総務省「地方自治体のデジタルトランスフォーメーション推進に係る検討会

2-1.総務省の最新ロードマップ

総務省は、自治体DXの実現に向けて「情報システムの標準化・共通化」「行政手続きのオンライン化」「セキュリティ対策の徹底」を柱とするロードマップを提示しています。特に、基幹業務システムの標準化はDXの基盤となる施策です。これまで自治体ごとに異なる仕様で運用されていた住民記録、税務、福祉などの17業務を国が定める標準仕様に統一し、クラウド前提で運用することで、保守コストの削減と自治体間の連携強化を図っています。

 

2-2.デジタル田園都市国家構想との関係

自治体DX推進計画は、政府の「デジタル田園都市国家構想」と深く結びついています。この構想は、地方にデジタル技術を浸透させ、人口減少や高齢化といった課題を乗り越え、持続可能で豊かな地域社会を築くことを目指す国家戦略です。都市と地方の格差を縮め、誰もが安心して暮らせる環境を整えるために、デジタル化は欠かせない要素となっています。

 

背景には、行政サービスの利便性向上と地域活性化の両立があります。自治体DX推進計画は、この構想の中で「行政サービスのデジタル化」を担う重要な役割を果たします。オンライン申請やマイナンバーカードの活用、クラウド化による業務効率化、AIやRPAを使った事務の自動化など、具体的な施策が全国で進められています。

 

さらに、国は「デジタル田園都市国家構想交付金」や「デジタル実装型交付金」を通じて、スマート行政、防災、医療、教育、交通など幅広い分野でのデジタル導入を後押ししています。これにより、自治体は単なる業務改善にとどまらず、地域の魅力向上や住民サービスの質的向上を同時に実現できます。

期待される効果は大きく、オンライン診療や遠隔教育、防災情報のリアルタイム配信、観光データの活用など、デジタル技術を活用した新しいサービスが地域に広がります。自治体DXとデジタル田園都市国家構想の連携は、地方創生とDXを一体で進める絶好の機会です。今後は、国の支援策を積極的に活用しながら、地域の未来を切り拓く取り組みが求められます。

2-3.重点施策のポイント

2025年時点で注目すべき重点施策は次の通りです。

情報システムの標準化・共通化

基幹業務システムの標準化は、DX推進の土台です。標準仕様への移行により、システム更新や保守にかかるコストを削減し、災害時や非常時にも迅速な対応が可能になります。

行政手続きのオンライン化

マイナンバーカードを活用したオンライン申請の対象手続きは拡大を続けています。子育てや介護関連の手続きに加え、被災者支援や自動車保有関係など、住民の生活に密着した分野でオンライン化が進んでいます。

AI・RPAの活用

業務効率化のため、AIやRPAの導入が加速しています。定型業務の自動化だけでなく、生成AIを活用した問い合わせ対応や文書要約など、職員の負担を軽減する取り組みが広がっています。

セキュリティ対策の徹底

DXの進展に伴い、情報セキュリティの重要性は一層高まっています。総務省は次期自治体情報セキュリティクラウドへの移行やゼロトラストモデルの導入を推奨しており、認証強化やログ監査などの対策が求められています。

3.最新の取り組みと技術トレンド

自治体DXの推進において、現在注目されているのは「マイナンバーカードの高度活用」「行政手続きの完全オンライン化」「AI・RPA・生成AIの導入」「ゼロトラストセキュリティの強化」です。これらは単なる技術導入ではなく、住民サービスの質を高め、職員の業務負担を軽減するための重要な要素です。

3-1.マイナンバーカード普及率と新機能

マイナンバーカードは自治体DXの基盤となる存在です。マイナンバーカードの2025年12月3日時点での保有率は80.3%(保有枚数は約100.03百万枚)に達し、政府はさらに普及を加速させています。カードの機能も進化しており、スマートフォンへの搭載が可能になったことで、本人確認や行政手続きがより簡単に行えるようになりました。さらに、運転免許証との一体化も進んでおり、カード1枚で複数の公的機能を利用できる時代が到来しています。

こうした機能拡張により、住民は窓口に出向くことなく、オンラインでの申請や証明書取得が可能になります。自治体にとっても、窓口対応の負担軽減や事務処理の効率化が期待できます。

3-2.行政手続きの完全オンライン化

行政手続きのオンライン化は、自治体DXの中核的な取り組みです。従来は一部の手続きのみが対象でしたが、現在では子育て、介護、被災者支援、自動車保有など、生活に密着した手続きの多くがオンラインで完結できるようになっています。マイナンバーカードを活用した本人確認により、セキュリティを確保しながら利便性を高める仕組みが整備されています。

さらに、スマートフォン対応や多言語化、ワンストップ申請など、ユーザー体験(UX)の改善も進んでいます。これにより、住民は時間や場所に縛られず、必要な手続きをスムーズに行えるようになりました。

3-3.AI・RPA・生成AIの活用事例

自治体業務の効率化において、AI(人工知能)やRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)、そして生成AIの導入が急速に進んでいます。AIは問い合わせ対応や文書分類、審査補助などに活用され、RPAは定型業務の自動化により職員の負担を軽減します。

特に注目されるのが生成AIです。生成AIは、住民からの質問に対する自動応答や、条例・要綱の要約、議事録作成などに利用されています。これにより、職員は単純作業から解放され、より付加価値の高い業務に集中できます。ただし、生成AIの利用には個人情報保護や誤情報防止のためのガバナンスが不可欠です。プロンプト管理や監査ログの整備、人手による確認プロセスを組み込むことが求められます。

3-4.ゼロトラストセキュリティの導入

DXの進展に伴い、セキュリティ対策は従来の「境界防御」から「ゼロトラスト」へとシフトしています。ゼロトラストとは、ネットワーク内部であっても信頼せず、すべてのアクセスを検証する考え方です。具体的には、多要素認証(MFA)、端末管理(MDM)、クラウドセキュリティ(CASB)、脆弱性管理などを組み合わせ、常時監視とリスク評価を行います。

このモデルを導入することで、サイバー攻撃や情報漏えいのリスクを大幅に低減できます。自治体にとっては、住民情報を守るための必須施策であり、今後のDX推進において避けて通れない領域です。

 

4.自治体におけるDX推進の課題と解決策

一方で、地方自治体におけるDX推進は大きな課題を抱えています。ここでは4つの視点から、自治体DXの課題とその解決策について詳しく見ていきましょう。

4-1.アナログ文化の残存

自治体DXを阻む最大の要因の一つは、根強く残るアナログ文化です。紙ベースの書類や押印を前提とした業務は、長年の慣習として定着しており、変革には強い抵抗があります。こうした文化は、業務効率を低下させるだけでなく、情報管理のリスクも高めます。例えば、紙書類の紛失や保管スペースの確保は、セキュリティ面でも課題です。

 

解決策としては、段階的な業務再設計(BPR:Business Process Re-engineering)が有効です。まず、紙書類を電子化し、クラウドストレージで安全に管理する仕組みを導入します。次に、電子署名やオンライン承認フローを標準化し、業務プロセスをデジタル前提に再構築します。こうした取り組みは、物理的な保管コストを削減し、情報の検索性や共有性を高める効果があります。

4-2.DX人材不足とリスキリング

DX推進には専門知識を持つ人材が不可欠ですが、地方自治体ではデジタル人材の確保が難しい状況が続いています。採用市場ではITスキルを持つ人材の競争が激化しており、自治体は給与水準やキャリアパスの面で民間企業に劣ることが多いです。また、既存職員の多くは従来型の業務に慣れており、デジタル技術への理解が不足しています。

 

解決策としては、二つのアプローチが重要です。
一つ目は、採用枠に「デジタル職」を新設し、IT資格や実務経験を要件化することです。これにより、専門性を持つ人材を計画的に確保できます。
二つ目は、既存職員のリスキリング(再教育)です。基礎的なITスキルから始め、データ活用、AI、セキュリティまで段階的に学べる研修プログラムを整備します。さらに、外部専門家との官民連携や越境学習を取り入れることで、実践的なスキル習得を促進できます。

4-3.住民とのコミュニケーション不足

DX施策を進める際、住民との認識のずれが大きな障壁となります。例えば、マイナンバーカードは行政手続きのオンライン化に不可欠なツールですが、その利便性や安全性が十分に伝わっていないため、かつて普及率は伸び悩んでいました。住民が不安を抱えたままでは、DXの効果は限定的です。

 

解決策としては、住民目線での情報発信です。動画やSNS、電子回覧板などを活用し情報発信や、オンライン説明会や出張窓口を設け、直接質問できる場を提供することも有効です。さらに、試験的なサービス導入の際は、住民からのフィードバックを反映することで、信頼性を高めながら推進できるでしょう。

4-4.セキュリティリスクへの対応

DXの進展に伴い、自治体はサイバー攻撃や情報漏えいのリスクに直面しています。クラウドサービスや外部委託の利用が増えることで、従来の境界防御型セキュリティでは不十分になっています。特に、個人情報や機微情報を扱う自治体では、セキュリティ対策の強化が急務です。

 

解決策は、ゼロトラストモデルの導入です。ゼロトラストとは、「すべてのアクセスを常に検証する」という考え方で、ネットワークの内外を問わず認証と監視を徹底します。具体的には、多要素認証(MFA)、端末管理(MDM)、ログ監査、脆弱性管理を組み合わせ、継続的なリスク評価を行います。また、災害時や障害発生時に備えたBCP(事業継続計画)とDR(災害復旧計画)も不可欠です。

 

5.全国の自治体DX最新事例

ここでは自治体DXの最新事例をご紹介します。

5-1.和歌山県 紀の川市|「書かないワンストップ窓口」で行政手続きを完全デジタル化

紀の川市は、複雑な窓口手続きと記入作業による市民負担を解消するため、2024年1月に「書かないワンストップ窓口」サービスを導入しました。マイナンバーカードを活用し、氏名や住所などの情報を自動取得することで、申請書記入を不要化。さらに、複数手続きを一度に処理できる仕組みを整備し、待ち時間の短縮と職員の業務効率化を実現しました。

 

ポイント

・マイナンバーカードで情報自動取得

・複数手続きを一括処理するワンストップ化

・記入不要で市民負担を軽減、職員の業務効率化も実現

 

出典:紀の川市役所 デジタル推進室 プレスリリース「1月16日から「書かない窓口」はじめます!」(2024年1月5日)

5-2.宮崎県 都城市|マイナポータル連携で複数手続きをオンライン化

都城市は、窓口への来庁が必要な申請が多く、市民や職員の負担が課題でした。2024年からマイナポータルの電子申請機能を全行政手続きに拡大導入し、スマホやPCで出生届・胎児支援金・水道使用停止届などをオンラインで完結可能にしました。これにより、窓口訪問を削減し、市民の手間軽減と職員の業務効率化を実現。2025年1月には、オンライン化可能なすべての行政手続き(2,393手続き)が完了し、自治体DXの先進モデルとなっています。

 

ポイント

・オンライン化可能な2,393手続きをすべてオンライン化

・スマホ・PCで行政手続きが24時間365日「いつでもどこでも可能」に

・窓口訪問削減と市民・職員双方の負担軽減

 

出典:都城市「ぴったりサービスを活用したオンライン申請を受け付けています!」(2025年1月10日)

5-3.岐阜県|高校入試の完全デジタル化で35,000時間を削減

岐阜県は2024年、高校入試の完全オンライン化を実現しました。従来は紙書類の提出や窓口対応が必要でしたが、オンライン化により出願から合格発表までを一括デジタル化。これにより、事務作業の効率が飛躍的に向上し、約35,000時間の業務削減を達成しました。教育分野における自治体DXの先進事例として、ペーパーレス化と職員負担軽減の両立を実現しています。

 

ポイント

・出願・合格発表のオンライン化

・業務効率化と職員負担軽減

・ペーパーレスでコスト削減

 

出典:一般社団法人 行政情報システム研究所「自治体DX成功事例(教職員の働き方改革)~高校入試の手続をフル・デジタル化、本業に集中する~

5-4.大阪府 四條畷市|電子投票条例の策定で投票の利便性向上

大阪府四條畷市は2024年、全国に先駆けて電子投票導入に向けた条例を策定しました。従来の紙投票に比べ、オンライン投票の仕組みを整えることで、投票率向上と利便性の確保を目指しています。さらに、透明性とセキュリティを両立する仕組みを検討し、他自治体へのモデルケースとして注目されています。

 

ポイント

・電子投票導入に向けた条例策定

・投票率向上と市民の利便性確保

・セキュリティと透明性の両立

 

出典:京セラ株式会社「電子投開票システム「デジ選®」 採用事例:大阪府四條畷市市長選挙」(参照日:2025年12月10日)

5-5.兵庫県 朝来市|AIによる水道管路劣化診断で更新コスト削減

朝来市は、職員4名という少人数体制で水道事業を運営する中、管路点検の負担が課題でした。令和2年度、厚労省のIoTモデル事業採択によりAIを活用した水道管路劣化診断を導入。環境データと管路情報を統合し、破損確率を予測することで、更新計画の優先順位付けとコスト削減を実現しました。

 

ポイント

・AIで管路劣化を予測し更新計画を最適化

・少人数でも持続可能な水道運営

・更新コストを約2~3割削減

 

出典:総務省「デジタル時代の自治体DX推進|事例紹介(兵庫県朝来市)

6.自治体DXの進め方

自治体DXを成功させるためには、総務省が示す「自治体DX全体手順書」に沿った体系的な進め方が重要です。ここでは、最新の推進ステップと実務ポイントを解説します。

6-1.ステップ0:DXの認識共有・機運醸成

自治体DXの第一歩は、庁内全体でDXの必要性を理解することです。首長や管理職が率先してDXの意義を発信し、職員に「なぜDXが必要なのか」を明確に伝えることが重要です。DXは業務効率化だけでなく、住民サービスの質を高める取り組みです。説明会やワークショップで成功事例を共有し、住民にも「オンライン化で手続きが簡単になる」などのメリットを周知しましょう。

6-2.ステップ1:全体方針の決定

認識共有ができたら、次はDX推進の方針を策定します。総務省の「自治体DX推進計画」や「デジタル社会の基本方針」を参考に、課題を整理し、優先度を設定。行政手続きのオンライン化やクラウド移行など、重点施策を明確化します。ロードマップと工程表を作成し、KPI(オンライン申請率、業務時間削減率など)を設定して進捗を管理します。

6-3.ステップ2:推進体制の整備

全体的な方針がまとまったら、推進体制を整備するステップに進みます。
DXを進めるには、専任の推進体制が不可欠です。DX推進室やデジタル戦略課を設置し、全庁的な調整を担う司令塔を構築します。情報システム部門だけでなく、各課と連携し、業務横断的に改革を進めます。デジタル人材の確保も重要で、専門職採用や職員リスキリングを計画的に実施。副業人材や外部専門家との官民連携も効果的です。

6-4.ステップ3:DXの取組の実行

推進体制が整ったら、いよいよDX施策の実行に入ります。

DX施策はPDCAで計画的に進めつつ、OODAループ(※)のフレームワークを活用するなどして、迅速な意思決定を行います。まずは小規模なパイロット導入で検証し、改善を重ねながら対象範囲を拡大。進捗をダッシュボードで可視化し、住民からのフィードバックを反映する仕組みを整えましょう。DXは一度導入して終わりではなく、継続的な改善が求められます。

 

※OODAループとは、「Observe(観察、情報収集)」「Orient(状況、方向性判断)」「Decide(意思決定)」「Act(行動、実行)」の頭文字をつないだ言葉で、意思決定プロセスを理論化したもの。PDCAと異なり、計画を立てるステップがないため、スピーディーな意思決定ができます。

6-5.その他:関連するドキュメントの確認

DX推進には総務省の「自治体DX推進手順書」「行政手続きオンライン化資料」「情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」などを活用します。特にセキュリティ対策は必須で、ゼロトラストや多要素認証の導入が求められます。必要に応じて参考にしてみてください。

 

1. 自治体情報システムの標準化・共通化に係る手順書【第4.0版】
2. 自治体の行政手続のオンライン化
3.自治体DX推進手順書参考事例集
4. 情報セキュリティポリシーに関するガイドライン(令和7年版)

7.自治体DXを推進する際のポイント

自治体DXを円滑に進めるためには、計画だけでなく実務面での工夫が不可欠です。ここでは、成功のための3つの重要ポイントを紹介します。

7-1.小規模の施策からスタート

まず小規模の施策から取り組みましょう。大規模なDXを進めてしまうと住民に混乱をもたらす可能性が高いです。住民からの問い合わせが殺到し、業務に支障をきたしかねません。

住民への影響を最小限に留めるため、小さなDXから始め、住民から意見をフィードバックしてもらうのがいいでしょう。小さな改善を積み重ねることで住民のDXに対する理解度も上がり、本格的なDXへの道が拓けてくるはずです。

7-2.補助金などを活用した資金繰り

DX推進にはシステム導入や人材育成などのコストが伴います。総務省の「デジタル田園都市国家構想交付金」や、ガバメントクラウドファンディングなどの補助制度を活用することで、財源を確保できます。特に交付金は、行政サービスのオンライン化やクラウド移行など、DXに直結する取り組みに対して支援が受けられるため、計画段階で申請準備を進めることがポイントです。

7-3.官民連携・外部人材活用

DXには専門知識が必要ですが、自治体内だけで対応するのは難しい場合があります。副業人材や外部専門家を活用することで、スピード感ある推進が可能です。例えば、AIやクラウドの専門家を短期的に招き、システム設計や運用を支援してもらう方法があります。ただし、外部委託は一時的な解決策に過ぎないため、並行して庁内での人材育成を進めることが重要です。

 

8.まとめ:DXで自治体が変わる未来へ

自治体DXは、住民サービスの質を高め、業務効率化を実現するための重要な取り組みです。行政手続きのオンライン化、クラウド移行、生成AIの活用、ゼロトラストセキュリティの導入など、DXは自治体運営に不可欠な要素となっています。背景には、少子高齢化による人材不足や財政制約、災害や感染症への対応力強化といった課題があります。

全国の自治体では、オンライン申請やクラウド基盤の導入、AIによる業務効率化、地域通貨による経済活性化など、先進事例が次々と生まれています。これらの事例は、DXがもたらす効果を具体的に示しており、今後の取り組みの参考になります。

さらに、2026年度末までに情報システムの標準化・クラウド移行を完了することが求められており、DXは「将来の義務」ではなく「今すぐ取り組むべき課題」です。住民にとって便利で安心なサービスを提供し、職員の働き方を改善するために、DXは避けて通れない道です。小さな一歩から始め、補助金を活用し、官民連携で知見を取り入れながら、持続可能な行政運営を実現しましょう。

 

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