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公的個人認証サービスのプラットフォーム事業者29社一覧|公的資料の読み方と選定の判断軸
#公的個人認証/JPKI #本人確認 #犯収法改正
マイナンバーカードによる本人確認を自社サービスに組み込むとき、実務上の出発点になるのは「どのプラットフォーム事業者に委託するか」という検討です。そこで必要になるのは、委託先の候補となる事業者の一覧と、自社に合う一社を選ぶための基準ではないでしょうか。
デジタル庁の「プラットフォーム事業者一覧及び事例一覧」によると、公的個人認証サービスを導入しているプラットフォーム事業者は29社です(2026年8月17日時点)。この記事では、29社の一覧をデジタル庁・総務省・J-LISの各資料での掲載状況とあわせて整理したうえで、2027年4月の犯罪収益移転防止法施行規則の改正から逆算した選定の判断軸を7つに分けて解説します。なお、認定状況や各社の対応範囲は随時更新されるため、実際の選定にあたっては最新の公表資料をあわせてご確認ください。
【本人確認アプリサービスをリリースしました(2026年10月)】
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目次
1.公的個人認証サービスのプラットフォーム事業者とは
プラットフォーム事業者とは、公的個人認証サービスの利用に必要な主務大臣認定を自ら取得し、その基盤を他の事業者に提供する事業者を指します。一般に「PF事業者」と略され、提供を受ける側の事業者は「SP事業者(サービスプロバイダ事業者)」と呼ばれます。
この仕組みは、民間事業者が公的個人認証サービスを安価かつ容易に利用できるよう、制度として設けられているものです。
1-1.主務大臣認定とプラットフォーム事業者の関係
はじめに、少し法律の話になりますが、プラットフォーム事業者という言葉の位置づけを正確につかむために、根拠法の条文を確認しておきます。
公的個人認証サービスの根拠法は「電子署名等に係る地方公共団体情報システム機構の認証業務に関する法律(平成14年法律第153号)」です。一般の民間事業者が電子証明書の失効情報の提供を受けるには、同法第17条第1項第6号に基づく主務大臣(内閣総理大臣及び総務大臣)の認定を受けたうえで、地方公共団体情報システム機構(J-LIS)へ届け出ることが前提となります。認定にあたっては、規程類の整備や不正アクセスの防止など、総務省とデジタル庁のガイドラインに示された8つの評価項目を運用開始後も継続して満たすことが求められ、政令で定める期間ごとの更新も必要です。認定手続きの流れや期間は、関連記事で詳しく解説しています。
関連記事
> JPKI導入の費用・期間・流れ|PF事業者とSP事業者の違い、2027年改正への備え
1-2.プラットフォーム事業者とサービスプロバイダ事業者の役割分担
プラットフォーム事業者を利用する場合、主務大臣の認定はプラットフォーム事業者が委託元に代わって受けるため、委託元の事業者は自ら認定を受ける必要がありません。ガイドラインでは、J-LISへの届出も委託できるとされています。
| 区分 | 主務大臣認定 | J-LISへの届出 | 主な役割 |
|---|---|---|---|
| PF事業者(プラットフォーム事業者) | 委託元に代わって取得する | 委託を受けて行うことができる | 検証基盤の構築・運用、SP事業者への提供 |
| SP事業者(サービスプロバイダ事業者) | 不要 | 委託により不要とできる | 自社サービスへの組み込み、利用者との接点の設計 |
なお、デジタル庁によると公的個人認証サービスを利用している民間事業者は1,411社で(2026年8月31日時点)、その大多数はPF事業者への委託によってサービスを導入しています。
2.プラットフォーム事業者29社の一覧
デジタル庁は「プラットフォーム事業者一覧及び事例一覧」として、公的個人認証サービスを導入しているプラットフォーム事業者を公表しています。ここでは、このプラットフォーム事業者を基準に、各資料での掲載状況と、マイナアプリ経由の利用・カード代替電磁的記録(スマートフォンに搭載したマイナンバーカードの情報)への対応状況をまとめました。
2-1.29社の一覧と各資料での掲載状況
表の見方は次のとおりです。事業者名と掲載順はデジタル庁の一覧に合わせています。
■ 主務大臣認定事業者:総務省の主務大臣認定事業者一覧(2026年8月1日時点)に掲載
■ 失効情報の提供:J-LISの失効情報を提供している民間事業者の一覧(2026年9月16日更新)にプラットフォーム事業者として掲載
■ マイナアプリ連携:デジタル認証サービスと連携するプラットフォーム事業者の一覧に掲載
■ カード代替電磁的記録:デジタル庁の「カード代替電磁的記録を利用するサービスを開始した事業者及び事例一覧」(2026年8月27日更新)に掲載
| 事業者名 | 主務大臣認定事業者 | 失効情報の提供 | マイナアプリ連携 | カード代替電磁的記録 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | ICTまちづくり共通プラットフォーム推進機構 | ● | ● | — | — |
| 2 | 株式会社NTTデータ | ● | ● | ● | — |
| 3 | GMOグローバルサイン株式会社 | ● | ● | ● | — |
| 4 | 日本電気株式会社 | ● | ● | ● | — |
| 5 | 株式会社サイバーリンクス | ● | ● | — | — |
| 6 | 日本医師会 | ● | ● | — | — |
| 7 | サイバートラスト株式会社 | ● | ● | ● | ● |
| 8 | TOPPAN株式会社 | ●※1 | ● | ● | — |
| 9 | 株式会社野村総合研究所 | ● | ● | ● | ● |
| 10 | 株式会社Workthy | ● | ● | ● | — |
| 11 | TISI株式会社 | ●※2 | ●※2 | ● | — |
| 12 | 株式会社ダブルスタンダード | ● | ● | ● | — |
| 13 | 株式会社フライトソリューションズ | ● | ● | — | —※5 |
| 14 | ポケットサイン株式会社 | ● | ● | ● | — |
| 15 | 弁護士ドットコム株式会社 | ● | ● | ● | — |
| 16 | 株式会社ミラボ | ● | — | — | — |
| 17 | NTTドコモビジネス株式会社 | ● | ● | ● | — |
| 18 | 株式会社ACSiON | ● | ● | ● | — |
| 19 | マーソ株式会社 | ● | ● | — | — |
| 20 | クラウドシップ株式会社 | ● | ● | ● | — |
| 21 | 株式会社スカイコム | ● | ● | — | — |
| 22 | 株式会社チケットプラス | ●※3 | ● | — | — |
| 23 | 株式会社TRUSTDOCK | ● | ● | — | — |
| 24 | マイナウォレット株式会社 | ● | ● | — | — |
| 25 | 株式会社JMDC | ● | — | — | — |
| 26 | 株式会社プリマジェスト | ● | ● | ● | ● |
| 27 | 株式会社Liquid | ● | ● | — | ● |
| 28 | ゼネリックソリューション株式会社 | ● | ● | — | — |
| 29 | アイフル株式会社 | —※4 | — | — | — |
※1 総務省の資料では「TOPPANエッジ株式会社」の名称で掲載されています。
※2 旧社名はTIS株式会社(2026年7月に商号変更)。総務省・J-LISの資料は旧社名で掲載されています。
※3 旧社名は株式会社Tixplus。総務省の資料は旧社名で掲載されています。
※4 2026年7月27日に認定されています。総務省の資料(2026年8月1日時点)では、大臣認定事業者としては掲載されていません。
※5 同社の「myVerifist」は、2026年9月14日にカード代替電磁的記録の確認用プログラムとして大臣認定を受けています。
※ カード代替電磁的記録の欄は、デジタル庁の事例一覧への掲載の有無です。同一覧は掲載を希望した事業者を対象としているため、掲載がないことは対応していないことを意味しません。
※ 事業者名と掲載順はデジタル庁の一覧(2026年8月17日時点)によります。
出典:デジタル庁「プラットフォーム事業者一覧及び事例一覧」(2026年8月17日時点)、「デジタル認証サービス プラットフォーム事業者一覧」、「カード代替電磁的記録を利用するサービスを開始した事業者及び事例一覧」(2026年8月27日更新)、総務省「主務大臣認定事業者一覧」(令和8年8月1日現在)、地方公共団体情報システム機構「失効情報を提供している民間事業者について」(2026年9月16日更新)をもとに株式会社プリマジェストが作成(2026年9月時点)
2-2.マイナアプリ経由の利用とカード代替電磁的記録の違い
この表の右2列は、性質の異なる2つの仕組みを示しています。
マイナアプリ連携(デジタル認証サービス):
デジタル認証サービスは、デジタル庁が提供するAPIサービスです。利用者がマイナアプリでマイナンバーカードを読み取るため、事業者は読み取り用のアプリを用意する必要がありません。
APIは2種類あり、利用料はいずれも無料とされています。利用者証明用電子証明書を使う認証APIは、有効性確認までデジタル庁が行うため、プラットフォーム事業者を介さずに利用できます。署名用電子証明書を使う署名APIは、署名の検証と有効性確認をデジタル庁が行わないため、自ら主務大臣認定を受けるか、プラットフォーム事業者と連携する必要があり、一般にその利用料が別途発生します。表の「マイナアプリ連携」は、この連携先として掲載されている事業者です。
犯罪収益移転防止法の取引時確認で用いるのは署名用電子証明書のため、マイナアプリを経由する場合は、署名APIとプラットフォーム事業者の組み合わせが自社の要件を満たすかを確認することが望まれます。
カード代替電磁的記録:
スマートフォンに搭載したマイナンバーカードの券面情報(氏名・住所・生年月日等)と、その情報が真正であることを示す情報を一体にしたデータです。マイナンバー法に基づく、公的個人認証とは別の仕組みです。
自社でアプリを開発する場合はデジタル庁への利用申請が必要で、確認用プログラムまで自社で開発するときは大臣認定も求められます。一方、デジタル庁の「マイナンバーカード対面確認アプリ」などを対面で使う場合は、こうした手続きは不要とされています。対面・非対面のどちらでも利用でき、スマートフォンだけで手続きを完結させたい場合の選択肢になります。
なお、これまで搭載できるスマートフォンはiPhone(Apple ウォレット)に限られていましたが、2026年10月20日にはAndroid端末(Google ウォレット)向けの「Androidのマイナンバーカード」の提供開始が予定されています。
3.事業者を比較する前に固めておく3つの前提
事業者の比較に入る前に、自社の要件を先に固めておくことで選定の精度が上がります。まずは次の3点を精査しておきましょう。
3-1.対面と非対面のどちらをメインとするか
公的個人認証による確認方法は、非対面だけでなく対面でも用いることができます。この点は警察庁が公表している改正に関するQ&Aでも示されています。
オンライン完結のサービスであれば非対面を前提に設計できますが、店舗や窓口を持つ事業者の場合は、対面での運用が加わります。対面を含む場合、後述するとおり機器との連携が判断軸に加わるため、比較の観点そのものが変わってきます。
3-2.2027年4月の改正で必要になる確認方法
犯罪収益移転防止法施行規則は、2027年4月1日に施行される改正命令によって本人確認の方法が見直されます。非対面の取引については、容貌と写真付き本人確認書類の画像を送信する方法が令和7年共同命令第3号により同日をもって廃止されます。対面の取引については、令和8年共同命令第1号により、本人確認書類の提示のみで確認する場合にICチップの読み取りが求められます。
つまり、現時点で画像送信ベースの本人確認を運用している事業者は、施行日までに確認方法の切り替えを終える必要があります。事業者選定は、この施行日から逆算したスケジュールの中に位置づけることが大切です。
3-3.自社開発の範囲と委託範囲の線引き
プラットフォーム事業者に委託する場合でも、自社側に残る開発範囲は一定程度あります。利用者への案内画面、読み取り失敗時の代替フロー、確認記録の保存、既存の顧客管理システムとの連携などは、自社側で設計することが一般的です。
この線引きを先に決めておくと、各社の提案を「どこまでを引き受けてくれるか」という同じ軸で比較できます。逆に線引きが曖昧なまま進めると、契約後に想定外の開発工数が発生することがあるため、早い段階での整理が望まれます。
4.プラットフォーム事業者選定の7つの判断軸
ここからは、実際にPF事業者を比較する際の判断軸を7つに整理します。また、各項目の冒頭には、提案を受ける前に各社へ投げておきたい質問を添えました。
4-1.【判断軸1】対応する本人確認方式と利用者側アプリの範囲
質問:2027年4月以降に必要になる確認方式に、御社のサービスだけで対応できますか。マイナアプリを経由する方式にも対応していますか。
最初に確認したいのは、その事業者が対応している本人確認方式の範囲です。公的個人認証だけを提供しているのか、ICチップ読み取りと容貌送信を組み合わせた方式にも対応しているのか、スマートフォンに搭載された電子証明書に対応しているのかは、事業者によって異なります。
あわせて、利用者がどのアプリで電子証明書を読み取るのかも確認しておきたい点です。デジタル庁のデジタル認証アプリは2026年8月25日にマイナアプリへ統合され、サービスの呼称も「デジタル認証サービス」に変わりました。自社アプリ内で読み取る方式とマイナアプリを経由する方式のどちらに対応しているかは、利用者の操作手順と自社の開発範囲の両方に影響します。
4-2.【判断軸2】追加開発なしで使えるアプリの有無
質問:追加の開発なしで使えるアプリや画面はありますか。対応する端末とOS、費用はどうなりますか。
本人確認の仕組みは、必ずしも自社で開発する必要はありません。対面での確認であれば、デジタル庁が提供する「マイナンバーカード対面確認アプリ」を使う方法があり、この場合は申請などの手続きも不要とされています。同アプリはバージョン2.0.0以降でカード代替電磁的記録の読み取りに対応しており、iPhoneでは2025年8月、Androidでは2026年1月にこの機能が提供されています。民間のベンダが提供するアプリをダウンロードして使う方法も、同様に手続きが不要とされています。
非対面についても、マイナアプリを経由する構成であれば、利用者側の読み取りアプリを自社で開発する必要はありません。プラットフォーム事業者によっては、窓口用のアプリや申込画面をそのまま使える形で提供している場合もあります。
確認したい観点は、追加開発なしで使える形態があるか、対応する端末とOSの範囲、確認記録の保存や基幹システムとの連携が別途必要になるか、費用がどう発生するかの4点です。すぐに使える形態があれば、施行日までの時間が限られている場合の現実的な選択肢になります。一方で、既成のアプリは自社サービスの導線に合わせた調整が難しいことも多いため、次の判断軸とあわせて検討することが望まれます。
4-3.【判断軸3】SDK・APIの実装要件とカスタマイズの自由度
質問:提供形態はSDKですか、APIですか。テスト環境では何を試せますか。画面や導線はどこまで自社で作り込めますか。
提供形態がSDKかAPIか、対応している言語やプラットフォームは何か、テスト環境がどの程度整備されているかは、導入期間に直結します。とくにテスト環境の有無と、そこで実施できる試験の範囲は、早い段階で確認しておきたい項目です。
あわせて確認したいのが、画面やフローをどこまで自社で作り込めるかという点です。完成されたUIをそのまま利用する形態は導入が速い一方、自社サービスの導線に合わせた調整が難しくなる場合があります。既存サービスへの組み込みを前提とする場合は、カスタマイズの自由度を優先的な比較軸に置くことが望まれます。
4-4.【判断軸4】対面運用に必要な機器との連携
質問:どの読み取り機器に対応していますか。運転免許証や在留カードも読めますか。機器の調達と保守はどちらが担いますか。
窓口での本人確認を行う場合、ソフトウェアだけでは運用が完結しません。ICカードリーダーなどの読み取り機器、窓口端末、店舗ネットワークとの接続方式まで含めて設計する必要があります。
確認したい観点は、対応している読み取り機器の種類、マイナンバーカード以外の書類(運転免許証、在留カードなど)への対応、機器の調達と保守を誰が担うか、の3点です。機器まで含めて一社で相談できるかどうかは、導入後の運用負担に影響します。
プリマジェストでは、キヤノンマーケティングジャパンが提供する個人認証カードリーダー「ID-MY2」と連携し、マイナンバーカード・運転免許証・在留カードなどのICチップ読み取りに対応した構成をご提案しています。機器を含めた対面運用の設計については、Primagest Trust Services 開発者向けサイトもあわせてご覧ください。
4-5.【判断軸5】基本4情報の取得範囲と継続的顧客管理への活用
質問:基本4情報の取得に対応していますか。同意の取得と管理はどちらが担いますか。取得した情報は自社の顧客管理にどう渡せますか。
氏名・生年月日・住所・性別のいわゆる基本4情報を電子的に取得できるかどうかは、本人確認の後工程にも影響します。取得した情報を顧客管理に反映できれば、住所変更などの確認作業を効率的に行える可能性があります。
確認したい観点は、基本4情報の取得に対応しているか、同意の取得と管理をどちらが担うか、取得した情報を継続的顧客管理にどう接続できるかの3点です。導入時点では本人確認だけを目的としていても、後から活用範囲を広げる余地があるかを見ておくと、選定のやり直しを避けやすくなります。
関連記事
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4-6.【判断軸6】失効情報の確認方式と異常系の設計
質問:失効情報はOCSPとCRLのどちらで取得していますか。ICチップが読めないときや暗証番号がロックされているとき、どのような結果が返りますか。
電子証明書の失効情報の提供を受ける方式には、OCSP方式とCRL方式があります。民間事業者向けガイドラインでは、OCSP方式により提供される失効情報は15分単位で、CRL方式により提供される失効情報は一日単位で更新されるとされています。
どちらの方式を採用しているかは、失効した証明書を検知できるまでの時間差に関わります。取引のリスクの水準に応じて、どの方式が自社の要件に合うかを確認しておくことが望まれます。
あわせて見ておきたいのが、異常が起きたときの挙動です。ICチップが読み取れない場合、暗証番号がロックされている場合、外部サービスが応答しない場合に、どのような結果が返り、窓口やコールセンターでどう対応するのかは、実運用の負担を大きく左右します。提案書には書かれにくい領域のため、個別に質問することをおすすめします。
4-7.【判断軸7】データの取り扱い・契約・サポート体制
質問:自社側で保持できない情報を前提に、何を記録として残せますか。障害時の連絡体制と復旧目標はどうなっていますか。費用は取引件数でどう変わりますか。
プラットフォーム事業者を利用するSP事業者には、ガイドライン上、行ってはならない業務が定められています。具体的には、本人から提出された電子証明書を保持すること、電子証明書の発行番号を取得・保持することが禁じられています。
そのため、顧客管理システムとの連携を想定している場合は、自社側で保持できない情報を前提に、プラットフォーム事業者からどのような結果や情報を受け取り、何を記録として残すのかを設計段階で確認しておくことが大切です。確認記録の保存方法とあわせて整理しておくと、後工程での手戻りを避けやすくなります。
サポート体制については、導入時の支援範囲、稼働後の問い合わせ窓口、障害発生時の連絡体制と復旧目標を確認します。コストについては、初期費用とランニング費用の構造に加えて、想定取引件数が増減したときにどう変動するかを確認しておくと、中長期の見通しが立てやすくなります。
5.選定を進める実務ステップ
ここまでの判断軸を、実際の選定作業に落とし込むと次の流れになります。2027年4月1日の施行日から逆算し、余裕を持った着手が望まれます。
■ 自社要件の整理:対面・非対面の別、必要な確認方式、想定取引件数、既存システムとの連携範囲を文書化します。
■ 候補先の抽出:本記事の一覧と各公的資料をもとに、自社の業種・規模に近い利用実績を持つ事業者を絞り込みます。
■ 質問項目の統一:7つの判断軸をもとに質問票を作成し、各社に同じ形式で回答を求めます。
■ 技術検証:テスト環境で実装可否を確認します。とくに異常系の挙動は、この段階で確認しておきたい項目です。
■ 契約条件の確認:データの取り扱い、サポート体制、費用構造、契約期間と解約条件を確認します。
■ 社内体制の整備:規程の改訂、窓口オペレーションの設計、担当者への教育を並行して進めます。
なお、自社で主務大臣認定を取得する方針を選ぶ場合は、認定手続きの期間を別途見込む必要があります。委託と比べて準備期間が長くなるため、施行日までの残り期間を踏まえた判断が求められます。
6.よくある質問
6-1.プラットフォーム事業者は全部で何社ありますか?
デジタル庁の「プラットフォーム事業者一覧及び事例一覧」では、29社が掲載されています(2026年8月17日時点)。総務省の資料(2026年8月1日時点)では28社で、差はアイフル株式会社の1社です。認定は随時行われるため、最新の状況は総務省・J-LIS・デジタル庁の各資料で確認することが望まれます。
6-2.プラットフォーム事業者に委託すれば、自社での認定は不要になるのでしょうか。
主務大臣認定を受けたプラットフォーム事業者に委託する場合、主務大臣の認定はプラットフォーム事業者が委託元に代わって受けるため、委託元の事業者が自ら認定を受ける必要はありません。ただし、SP事業者には電子証明書の保持などが禁じられているため、ガイドラインで定められた業務の範囲を確認しておくことが大切です。
6-3.選定にはどのくらいの期間を見込めばよいですか?
要件整理から本番稼働までの期間は、既存システムとの連携範囲や対面運用の有無によって幅があります。2027年4月1日の施行日に間に合わせるためには、技術検証と社内体制の整備に要する時間を含めて、早めに着手することが大切です。
7.2027年4月の施行に向けた事業者選定を
プラットフォーム事業者は29社(2026年8月17日時点)あり、資料によって基準日や表記が異なります。そのため、一覧から候補を絞り込んだあとは、自社の要件に照らして各社の対応範囲を比較することが、選定の精度を高める近道になります。この記事で整理した7つの判断軸は、そのまま質問票の項目としてお使いいただけます。
株式会社プリマジェストは、2026年1月にプラットフォーム事業者として主務大臣認定を取得し、同年5月13日より「Primagest Trust Services」の提供を開始しました。公的個人認証、ICチップ読み取り、容貌撮影、基本4情報の取得をSDK/APIで提供しており、対面・非対面の双方に対応しています。
2026年10月1日からは、開発不要で利用できる「本人確認アプリサービス」も加わりました。対面用と非対面用の2種類をご用意しており、公的個人認証やICチップ読み取りに加え、スマートフォンに搭載したマイナンバーカードの情報(カード代替電磁的記録)にも対応しています。自社でアプリを開発する時間が取りにくい場合でも、施行日までに運用を立ち上げる選択肢になります。
また、キヤノンマーケティングジャパングループの一員として、個人認証カードリーダー「ID-MY2」との連携をはじめ、機器を含めた対面運用の設計までご相談いただけます。2027年4月の施行に向けて本人確認体制の見直しを検討されている場合は、要件の整理段階からお気軽にお問い合わせください。
7-1.Appendix 1|資料ごとに掲載状況が異なる理由
中段の表のとおり、同じプラットフォーム事業者でも、資料によって掲載の有無や表記が異なります。主な理由は3つです。
1. 資料ごとに目的が異なるため
デジタル庁の一覧は公的個人認証サービスを導入しているプラットフォーム事業者を、総務省の一覧は主務大臣の認定を受けた事業者とその利用事業者を、J-LISの一覧は失効情報の提供を受けている民間事業者を示すものです。デジタル認証サービスの一覧は同サービスと連携している事業者に限られ、カード代替電磁的記録の事例一覧は掲載を希望した事業者を対象としています。そのため、ある一覧に掲載されていないことが、その事業者が対応していないことを意味するとは限りません。
2. 基準日が異なるため
認定は随時行われるため、基準日が異なると掲載される事業者も変わります。たとえば、総務省の資料(2026年8月1日時点)は28社、デジタル庁の一覧(8月17日時点)は29社で、2週間ほどの差で社数が異なっています。
3. 社名の表記が異なるケース
商号変更などにより、同じ事業者でも資料ごとに名称がそろっていないことがあります。事業者数や社名を社内資料などで引用する際は、出典と基準日をあわせて記載することが望まれます。
7-2.Appendix 2|最新の認定状況を確認する方法
プラットフォーム事業者一覧を最新の状態で確認したい場合は、目的に応じて資料を使い分けると効率的です。出典に記載しているリンク先をご参照ください。
■ プラットフォーム事業者と導入事例:
デジタル庁の「プラットフォーム事業者一覧及び事例一覧」。多くの事業者について導入事例の資料が掲載されており、業界やサービスごとの活用例を確認できます。
■ 認定事業者と利用事業者の全体像:
総務省の「主務大臣認定事業者一覧」(PDF)。プラットフォーム事業者ごとに、そのサービスを利用している事業者が並んでいるため、同業種の事業者がどこを利用しているかの参考になります。
■ 直近の新規認定:
デジタル庁の新着情報。認定のつど個別に公表されるため、一覧資料より早く確認できます。
■ デジタル認証サービスとの連携状況:
デジタル認証サービスのウェブサイトに掲載されている「プラットフォーム事業者一覧」。各社の問い合わせ先も掲載されています。
■ カード代替電磁的記録の利用状況:
デジタル庁の「カード代替電磁的記録を利用するサービスを開始した事業者及び事例一覧」。事業者ごとの導入用途もあわせて確認できます。
出典:
デジタル庁「プラットフォーム事業者一覧及び事例一覧(2026年8月17日時点)」
総務省「公的個人認証サービスによる電子証明書(民間事業者向け)」
総務省「主務大臣認定事業者一覧(令和8年8月1日現在)」
デジタル庁・総務省「公的個人認証サービス利用のための民間事業者向けガイドライン 第1.8版」
地方公共団体情報システム機構「署名検証者・利用者証明検証者・団体署名検証者について」
地方公共団体情報システム機構「失効情報を提供している民間事業者について」
デジタル庁「民間事業者(アイフル株式会社)に対して公的個人認証サービスの利用に関する主務大臣認定を行いました」
デジタル庁「プラットフォーム事業者一覧(デジタル認証サービス)」
デジタル庁「デジタル認証アプリはマイナアプリに統合されました」
デジタル庁「カード代替電磁的記録(属性証明機能)」
デジタル庁「カード代替電磁的記録を利用するサービスを開始した事業者及び事例一覧」
デジタル庁「デジタル認証サービス 民間事業者向け情報」
デジタル庁「公的個人認証サービス(JPKI)」
警察庁「犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則の一部を改正する命令に関するQ&A」
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